1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。

 第2回目の特集は、カープ歴代監督のインタビューセレクション。

 ここでは、野村謙二郎氏の監督就任初年度に収録したインタビューを再編集して紹介。現役時代はチームリーダーとしてカープけん引し、リーグ優勝も経験した野村氏は、ファンの間からも「ぜひ監督に」と推す声が多かった。低迷を続けていたカープにとって、待望の新指揮官。当時44歳の野村氏が語っていた、カープ野球復活へのシナリオとは。(『広島アスリートマガジン2009年12月号』掲載記事を再編集)

カープ監督就任当時、44歳の野村謙二郎氏

◆カープらしい野球の復活に向け、意識付けはできてきた

— 監督は今季(2009年)のファーム成績(27勝64敗5分)も憂えていましたが、このキャンプでは若手も存在感を示しました。

「第一クールでは二軍の選手にメイングラウンドを使わせて練習が始まったのですが、そこから推薦で残った選手が意識を持ってやってくれました。最後の練習試合でも鈴木(誠也)や會澤(翼)らが結果を残してくれましたが、僕が一番望んでいたのはそれなんです。これだけ練習してきたんだから、ここで打ってくれと。結果を残すことが自信に繋がりますし、そういう意味では彼らが打ったことは僕にとっては嬉しかったですね」

— 彼らにも意識の変化が生まれてきたようですね。

「人数の枠もあるし、頑張ってきた二軍の選手たちが全員来春のキャンプに残るというのは難しいことですが、かといって可能性がないわけではありません。ただ、それよりももっと期待するのは、二軍の試合で今季よりももっと違った気持ちで野球をやって欲しいということです。それが彼らにとっての発展、進歩に繋がりますし、そうすれば二軍がこんなに借金を抱えることもないでしょう。

 今は巨人もいい育成のスタイルを持っていますが、これまでは育成に関してはカープが他球団からうらやましがられたところです。今はこういう結果が出ているので偉そうなことは言えませんが、カープは二軍も強く、二軍の選手が一軍に上がっても遜色ないというのが、理想です。まだまだやることはたくさんありますが、彼らもドラフトで選ばれてプロの世界に入ってきました。やれば絶対にできると僕は思っています」

— 初めてのキャンプでしたが、決して満足されていないと仰っていました。

「そうですね。いいキャンプを送れたとは思いますが、チームとして結果が出ないと満足は絶対にできないと思うんです。カープらしい野球の復活に向けて意識付けはできてきたかと思いますが、今キャンプに点数を付けろといわれても難しいですね。シーズンで結果を出すためのものですから」