開幕当初は勝ちパターンを構築できず、試行錯誤の日々を続けていたカープだが、塹江敦哉、ケムナ誠、島内颯太郎ら若手投手の積極起用により不安定ながらも徐々に形になってきている。

7月下旬から本来の輝きを取り戻しつつあるフランスア投手。

 しかしさらなる安定感覚のためには、近年のブルペンを支え続けてきたリリーバーの復活は必要不可欠。現状を打破するには、勝利の方程式の確立は絶対条件だ。

 リーグ3連覇当時は中﨑翔太を筆頭にリリーフ陣が安定し、“逆転のカープ”と呼ばれる試合が続出していた。ここではカープが球団史上初の3連覇を成し遂げた2016年~2018年を含む過去5年間に焦点を当て、各年度の勝利の方程式を振り返っていく。

◆2015年「永川勝浩以来の20セーブ超え。日本人守護神が誕生」
<勝利の方程式=ヒース-大瀬良大地-中﨑翔太>

 開幕直後はヒースが抑え、中﨑がセットアッパーを務めていたが、ヒースの状態が上がらずシーズン早々にリリーフを再構築。リリーフ陣の柱として期待された一岡も安定感を欠き、4月中旬には中﨑が新守護神として抜擢された。

 緒方孝市監督の目論見は功を奏し、6月5日以降は46試合の登板で防御率0.93という驚異的な数字をマーク。2010年の横山竜士以来となる球団日本人二桁セーブ、2009年の永川勝浩以来となる球団日本人20セーブ超え投手(29セーブ)となった。6月からは開幕ローテーション入りしていた大瀬良がリリーフに転向。中﨑と共に51試合20ホールドと貢献したが、打撃陣の不振が響きチームは3年ぶりのBクラスに沈んでしまった。

◆2016年「“逆転のカープ”というワードを生んだ盤石のリリーフ陣」
<勝利の方程式=今村猛-ジャクソン-中﨑翔太>

 直近2年で調子を崩していた今村が復活したことで、リリーフ陣の厚みが一気に増した。この年は67試合に登板し、防御率2.44で22ホールドをマーク。

 新加入したジャクソンも67試合の登板でリーグ2位となる37ホールドをマークするなど、現代野球で重要度が増している終盤戦の安定度が格段に上昇した。極め付けは抑えに完全固定された中﨑が年間を通して好調をキープし、リーグ優勝までの60登板で防御率1.37を記録。強力打線がクローズアップされがちだが、逆転勝利数45試合という数字が示すように、リリーフ陣の安定度がもたらした25年ぶりのリーグ優勝でもあった。