2021年の入団直後から、チームのなかで存在感を示してきた寺嶋良。昨年3月に右膝を故障し、初のリーグ優勝はコート外から見守った。不安、苦しさ、もどかしさ。複雑な感情を抱きながらも自分自身と向き合い続けた寺嶋は、1月、ブースターの大歓声のなか、再びコートに戻ってきた。復活の時を迎えた主力が、ケガと向き合った1年を振り返る。(全2回/第2回)
◆大ケガから10カ月ぶりの復帰。自身もチームも調子は上々
—今シーズンは1月10日の長崎戦で約10カ月ぶりに試合出場されました。復帰の目処が立ったのはいつ頃ですか?
「復帰戦の1週間前ぐらいです。まだ無理だろうと思っていたんですが、朝山(正悟)HCに背中を押していただいて。しばらくはベンチに座りながらコートにたまに出て、リハビリを重ねつつ徐々に完全復帰に向かっていけたら良いなと思っていたんですが、コートに立った瞬間にいろいろなものが蘇ってきて、気づいたら普通にバスケをしていました。思ったより動けました」
—その後、プレータイムも順調に伸びています。もう完全復活と思って良いですか?
「まだ右膝を伸ばしきれなくて可動域が違ったりするので、できない動きもあって選択肢の幅が狭まっていますね。ただ、以前はあまりしていなかったジャンプシュートや接触の少ないようなプレーをたくさん練習してきたおかげで新しい選択肢が増えた部分もあります。今はまだ自分のイメージと実際の動きにギャップがあるので、そこを埋めていけたらと思います。チームの雰囲気も明るいし、試合を重ねるごとにすごく良くなってきています。多少の運やシュートが入るか否かの差で勝ち負けが左右されることはありますが、負けたとしても、試合前に『こうしよう』と話したことは全て遂行できているので悪くないと思います」
—西地区優勝でのBリーグ連覇という目標達成に向かう中で、寺嶋選手の意気込みを聞かせてください。
「これまでも、今現在もずっと成長を続けていて、自分たちもどこまで成長できるか分からないくらい伸びしろがたくさんあるチームなので、最終試合まで楽しみに、期待してください。僕個人としても、膝の調子も良くなって試合感覚も取り戻して、必ずもっと良くなってくると思うので、引き続きたくさんの応援よろしくお願いします」
■寺嶋 良 てらしま・りょう
1997年10月23日生、東京都出身、ポジション:PG
洛南高ー東海大ー京都ハンナリーズー広島ドラゴンフライズ
小学生からバスケットボールを始め、高校は京都の名門・洛南高に進学。東海大では主将を務めるなどコート内外でチームをけん引した。2021年、京都から広島へ移籍加入すると中心選手として活躍。2023年には杭州アジア大会の日本代表に選出された。