シーズン序盤はケガ人が続き、なかなか勝ちきれない苦しい期間の続いた広島ドラゴンフライズ。若き司令塔・中村拓人が、タフなシーズンを振り返り語った自身とチームの課題とは。(取材は2025年4月)(全2回/第2回)
◆ここまでの悔しさを糧として、課題をクリアし強いチームに
—今シーズン、チームとしては勝率5割を切る厳しい状況が続きました。司令塔としてはどう見ていましたか?
「チームを勝たせるのがポイントガードだと思っているので、そういった意味では、優勝した翌年にも関わらずなかなか勝てない状況が続いて、非常に責任を感じています。開幕後しばらくはケガ人が出てチームのメンバーがそろわない苦しい時期があったことも事実ですが……。それでもやはり、思うように勝てていないのは悔しいです」
—優勝したことで、他チームの戦い方が変わった、勝ちづらくなったということはあるのでしょうか?
「昨年と比べて特に変わったという印象はありません。ただ、Bリーグ自体のレベルが上がってきているのは感じます。簡単に勝てる試合はひとつもないと思っているので、どの試合でも僕らが100%のパフォーマンスをしなくてはいけないというのは、改めて感じています」
—結果として勝ちを逃しても、内容は悪くない試合も多かった印象があります。
「そうですね。全部とは言い切れないのですが、負けの中でも自分たちがやりきったという試合も出てきてはいます。それが勝利につながれば自信にもなってくると思うので、そういったことを増やしていくことが必要かなと思います」
—EASLは海外での試合も多く、スケジュールや移動面、環境やボールの違いなどタフな条件が多い中での戦いでした。優勝できた要因は何だったと思いますか?
「試合ごとに選手がそれぞれステップアップできたことが一番大きく、それが優勝につながったかなと思います。EASLでの経験や、優勝というタイトルを取れたことは自信にもつながるはずです」
—チーム、そしてご自身の、来シーズン以降への展望をお聞かせください。
「チームとしては悔しいことが多いシーズンだったので、来シーズンは、目指すべきところに向かって一つ一つ課題をクリアして、強いクラブになっていきたいです。個人としては、今シーズンは日本代表でもいろいろな経験させていただきましたが、自分の中ではそこが一番目標としているところです。非常に厳しい戦いが個人でも続いていくと思うので、少しでも食らい付いていけるようにやっていきたいと思います」
■中村拓人(なかむら・たくと)
2001年3月3日生、愛知県出身、ポジション・PG
北海道 (2021 ※特別指定選手)−広島 (2021-22 ※特別指定選手)−広島 (2022〜)
バスケットボール一家に生まれ、物心がつく前からボールに触れていた『バスケの申し子』。昨季は3月以降、全試合でスタメン出場し急成長。司令塔としてチームの初優勝に大きく貢献した。昨年11月にはアジア杯予選に向けた日本代表にも選出され、活躍の幅を広げている。