明治安田J1百年構想リーグでの巻き返しをはかるべく、4月のホーム4連戦を戦い抜いたサンフレッチェ広島。ガウル監督の目指す新しいサッカーも徐々に形になりつつあり、後半戦に向け期待も高まっている。ここではクラブOB・吉田安孝氏が4月のサンフレッチェを振り返り、独自の目線で好調の要因を分析する。(全3回/第1回)

2024年に復帰し、今季3シーズン目を迎えた川辺駿。広島の心臓として試合を支えている

◆勝利を引き寄せたのは、トレーニングによって計算された『3人目の動き』

 3月に敵地での3連敗を喫するなど苦しんだサンフレッチェですが、4月に入ってからは清水戦(4月11日)ではPK戦の末に勝利、長崎戦(4月18日)では2得点をあげクリーンシートと、見応えのある試合が続きました。苦しい試合が続いていてもズルズルと負のループに陥っていかないところが、このチームのポテンシャルの高さです。

 本来、非常に力を持っている選手たちでありチームなのですから、苦しんだ期間は決して意味がなかったわけではなく『生みの苦しみ』だったといえるでしょう。

 新監督のもとでトライする新しいサッカー。その過渡期では必ず苦しい期間はあります。サンフレッチェはその苦しみを乗り越え、新しい形をつかみ始めているのだと思います。

 勝利した4月の2試合は、それぞれに前線3選手の理想的な連動から生まれた素晴らしいゴールがありました。

 清水戦で同点弾となった木下康介のゴールは、中野就斗がボールを持った時点でボランチの川辺駿がゴール脇のスペースに走り込み、ゴール前にパスを供給。これを木下がうまく押し込んで貴重な1点をあげました。まさに、川辺の理想的な『3人目の動き』から生まれたゴールだったと思います。中野の相手の守備ラインの間を通す鋭いパスもお見事の一言。攻撃の流れを変えるスイッチのパスになっていましたね。

 そして、長崎戦の加藤陸次樹のゴールも、素晴らしい崩しから生まれたゴールでした。あの場面でスイッチのパスになったのは、塩谷司の縦パスです。パスが出た時の塩谷、鈴木章斗、加藤の距離感や関係性、連動性が表現された素晴らしいゴールだったと思います。

(中編へ続く)

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。