今季プロ13年目のベテラン・松山竜平が好調をキープしている。9月22日の巨人戦(東京ドーム)では土壇場の9回表に起死回生の同点適時打をマーク。チームはサヨナラ負けを喫したものの、最後まで粘りの姿勢を貫く意地の打撃を見せた。

一軍に復帰してから継続して勝負強い打撃を見せる松山竜平選手。

 主軸として期待されながら、今季は春季キャンプで大きく躓いた。日南での一次キャンプ序盤は快音を響かせていたが、2月中旬に腰痛を発症し沖縄二次キャンプを途中離脱。三軍でのリハビリ調整を余儀なくされていた。

 約3週間弱で一軍合流を果たしたものの、5月25日にはまたもコンディション不良で離脱。6月19日の開幕戦では5番でのスタメン出場が有力視されていたが、打席に立てる状態ではないと判断され、再び三軍でのリハビリ調整に時間を費やすこととなった。

 結果、実戦復帰を果たしたのは開幕を一週間後に控えた6月12日。中日との二軍戦で1安打を放ったものの、開幕スタメンは他の選手に譲らざるを得なかった。

 昨季は頭部死球の影響もあり、年間を通じて不満の残るシーズンとなった。「プロ生活の中で一番悔しさを感じるシーズンでした」。昨季をそう振り返った松山は、巻き返しを図るべくベテラン選手では稀となる秋季キャンプにも参加した。それだけに春先の二度の離脱は、本人の中でも想定外であり、悔しさにまみれたものだったに違いない。

 とはいえ6月27日の中日戦(ナゴヤドーム)で今季初スタメンを果たすと、復帰初戦ですぐさま2安打1打点を記録。ファーストで結果を残していた堂林翔太の影に隠れることなく、5番打者として首脳陣の期待に応えてみせた。現在は規定打席にも到達し、チーム内では4番・鈴木誠也に次ぐ打率と打点を残している。

「中軸を任されたら得点圏で打つこと、それが第一ですね」

 今季を迎えるにあたり、松山がもっともこだわったのは打点。“チャンスでの一打”に重きを置いてシーズンに臨みここまで4割近い得点圏打率をマークするなど、まさに有言実行とも言える成績を残している。

 故障者が続出するチームにおいて、安定した活躍を見せるベテランの存在は数少ない光明の一つ。背番号55はチーム浮上に貢献するべくバットを振り続けていく。