若い戦力に加え、移籍加入した選手たちの活躍も光った今シーズンのカープ。その快足を活かして盗塁を積み重ねた辰見鴻之介や、安定感ある投球で、先発、リリーフ問わず登板数を増やした鈴木健矢らがその筆頭だ。彼らはいずれも『現役ドラフト』でカープに入団。新天地で花開いた選手たちとも言える。
移籍加入後のカープで活躍した選手というと、かつてリリーフとして3連覇にも貢献した一岡竜司氏を思い浮かべるファンも多いだろう。
現在はカープのアナリストとして第二の野球人生を歩む一岡氏。そんな一岡氏が現役引退後に語っていた『アナリストとして目指す姿』とは。
(『広島アスリートマガジン』2024年9月号掲載記事を再編集)
◆困った時に、頭の隅に『数字』を持っているかどうか
僕は2023年まで現役でしたが、当時はアナリストの飯田(哲矢)くんを見ていて、単純に『忙しそうだな……』というイメージを持っていました(笑)。その反面、『面白そうな仕事だな』とも思って見ていたんです。
現役引退後、カープでアナリストとして業務させていただくことになりましたが、この仕事は、選手のいろいろな動きを数値化し、パフォーマンスアップをサポートする仕事だと考えています。
例えば投手であれば、『なぜ打たれたか?』という原因が分からないまま修正するよりも、〝こういう数値が悪いから結果が残っていない〟と理解したほうが、指導する側も選手も判断材料が増えます。僕自身も経験がありますが、配球や変化球の変化量など、困ったときに頭の隅に数字を持っているのとそうでないとではやはり違います。今はアナリストとして、少しでも『数値』で選手のサポートになれればと思っています。
選手とのコミュニケーションは、基本的に選手側から数字を聞いてくることが多いですね。僕から選手に数字的なことで話をするときには、必ずコーチを介して伝えるようにしています。選手個人に対してミーティングを設けることもありますし、数字が悪い場面だけではなく、良いときも含めて、選手との距離感を意識しながらコミュニケーションを取るようにしています。
難しさを感じるのは伝え方で、いかに選手にわかりやすく説明するかは意識しています。僕らがコーチになってはいけないですし、僕らが提示する数値が、少しでもコーチが指導する材料になれば良いなと思っています。アナリストという仕事も球団として浸透してきているので、打者、投手はもちろん、コーチの方々と話をする機会も多くなってきています。
選手と会話の中で、「提示してもらった数字のイメージ通りでした」とか、「この器具を使って練習したらイメージ通りでした」など、僕らが提示した数字を使ってもらって、選手から効果が出たという声を聞いたときはやはりうれしいです。アナリストとしてのこだわりというか、意識していることは、データが絶対にならないこと、シンプルにコーチ・選手に伝えること、アナリストとして出過ぎないこと。これらを常に意識するようにしています。また、選手と気軽にコミュニケーションを取れるアナリストを目指したいと思っています。
■一岡竜司(いちおか・りゅうじ)
1991年1月11日生、福岡県出身
巨人(2012〜2013年)-広島(2014〜2023年)
沖データコンピュータ教育学院から2011年ドラフト3位で巨人に入団。大竹寛の人的補償としてカープに移籍すると、勝利の方程式の一角として活躍する。2023年シーズン限りで現役を引退し、現在もアナリストとしてチームに携わっている。
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