育成出身選手の活躍が光った2025年シーズンのカープ。大ブレイクした名原典彦をはじめ、代走盗塁のNPB新記録を打ち立てた辰見鴻之介も楽天の育成出身選手だ。
支配下指名、育成指名の間には、いったいどんな差があるのだろうか。ここでは、カープ・松本有史スカウトがかつて明かした、『育成ドラフト』のエピソードを再編集して紹介する。百戦錬磨の松本スカウトが語る、指名の基準や獲得までの舞台裏とは。
(『広島アスリートマガジン』2025年10月号掲載記事を再編集)
◆「能力的に何かが足りない」。支配下と育成の判断基準
私は2006年からスカウトとして活動していますが、これまで多くの育成選手を担当してきました。支配下指名選手と育成指名選手のスカウティングにおいて、最初の段階から差をつけていることはありません。
あえて大きな違いを言うならば、支配下選手よりも「能力的に何か一つ足りない」のが育成指名選手となります。普段のスカウト活動の中で選手のさまざまな部分を見て指名する判断をしていきますが、「もう少し、この部分が良かったら支配下指名できるのにな……」という選手は数多くいます。
毎年1月頃から次年度に向けたスカウト活動が本格的にスタートし、最初は全てフラットな目線で選手を見ていきます。高校生であれば7月、8月頃にはある程度「支配下指名が適正なのか、育成指名でいくべきか」などの判断に入ります。
先ほど、育成選手の判断について「能力的に何か一つ足りない」と言いましたが、逆を言えば「何か一つの能力が秀でている」からこそ、育成ドラフトでの指名候補となるわけです。何か一つ、特徴的な能力を持っている選手が評価対象になります。
現在も多くの育成選手が支配下を目指して奮闘していますが、彼らには、常日頃から支配下選手以上に「一軍で活躍するんだ」という強い意識を持ってほしいです。そしてその気持ちを大事にしながら日々練習に取り組んでもらいたいです。
たとえばソフトバンクであれば、三軍、四軍が設置されていて、多くの育成選手が試合経験を積むことができます。
しかしカープの場合は、二軍公式戦に出なければ試合経験を積むこと、結果でアピールすることができません。カープの育成選手はまず、二軍でポジションを奪わなければいけません。それだけ厳しい立場に置かれているわけですが、それぞれ特徴的な能力を持っているからこそ指名されているので、とにかく自分の強みを活かした上で頑張ってほしいです。
■松本有史(まつもと・ともふみ)
1977年5月1日生、広島県出身
崇徳高ー亜細亜大ー広島(1999年ドラフト7位〜2005年引退)
現役時代は長打力が魅力の大型内野手として活躍。2005年限りで現役引退。翌2006年からスカウトに転身し、主に東海地区、母校の亜細亜大を担当。
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