ガウル監督の下、百年構想リーグから新たな戦術の浸透を進めてきたサンフレッチェ広島。2026/27明治安田J1リーグではここまで7試合を戦い、中野就斗自身も「考える力」を身につけながら進化を続けている。

 百年構想リーグで味わった苦しさ、7月のキャンプで積み重ねた試行錯誤、そしてJ1リーグ戦での現在地。その歩みの先に、9月17日、日本代表初選出という新たな扉が開かれた。今季の成長と歩み、そしてその先に見据える世界への思いを語った独占インタビューをお送りする。(前編)

日本代表に初選出されたサンフレッチェ広島・中野就斗

◆考える力を学べている

ー2026年は百年構想リーグという特別大会から始まりました。振り返って、どのような期間でしたか?

「監督も変わって、チームとしても一からではないですが、また新たなところに取り組んで、個人としてもそれに順応するためにいろいろ試行錯誤しました。半年という期間でしたが、チームとしてもそうですし、個人としてもものすごくレベルアップできた期間だったのかなと思っています」

ープロ入り後、監督が代わるのは初めてでした。

「戸惑いというよりは、新鮮な気持ちという感覚でした。監督によって成長の仕方も変わってくるので、どんなサッカーをするのかだったり、僕自身がどういうシーズンを送るのかなという意味で、とても楽しみでした」

ー百年構想リーグ中盤は、チームとして苦しい時期もありました。その時はどのような思いでしたか?

「後ろからしっかりボールを大切に使って、ビルドアップして得点を取るということを掲げて取り組んでいました。ですが、連敗中は結果を出せず、自分たちのプレーにも自信がなくなっていたと思います。でも、結果を出せるようになってきてからは『やり続けることで、いずれ絶対に結果が出る』と信じていました。それが最後の5連勝にもつながったと思います。苦しい思いもありましたが、チームとしても、個人としてもやり続けた結果が今にもつながっているのかなと思っています」

ー成長するために必要な期間だったと感じますか?

「そうですね。ずっとうまくいくチームはないと思いますし、ずっと結果を出し続けることは難しいと思うので、いかにそういう時に自分たちにベクトルを向けられるかだと思っています。逃げなかったことが今につながっているのかなと思っています」

ー百年構想リーグの地域リーグラウンドでベストイレブンに選出されました。

「選ばれることはとてもうれしいことですし、光栄なことですが、僕自身、なかなか満足するような結果を残せたとは感じていません。もっともっと僕自身もできると思いますし、自分自身にもっともっと期待しているので、2026/27シーズンでもっと自分の価値を証明していければと思っています」

ーガウル監督のサッカーで、難しさを感じた部分や、新たに吸収できた部分を聞かせてください。

「スキッベ監督の時は『縦に速く攻撃するサッカー』でしたが、ガウル監督は『下からしっかり積み上げていく、全員がビルドアップでボールに関わる』という部分があります。自分自身も最初は戸惑いというより、慣れていない部分もあったので難しさはありました。でも、『より考える』『いま何が必要なのか』であったり、『考える力』を一番学べているのかなと思っています」

ー7月には、オーストリアと宮崎でトレーニングキャンプがありました。どのような位置づけで臨みましたか?

「個人としては、ある程度ガウル監督のやりたいサッカーを分かっている中で、考えながらプレーすることを大事にしました。周りに合わせるというより、『自分がどのようにしてチームに100%、120%の力を出せるか』ということを考えながらキャンプに臨みました」

ーキャンプで特に意識して取り組んだことは何ですか?

「ビルドアップも含めて、全ての部分でレベルアップしなければいけないと思いました。そのビルドアップの部分で、サポートだけだったり、ボールを回すことだけに意識をしていたら、自分の良さは出せないと思っていました。どこで自分が一番受けられて、どこに走れば自分の力をMAXで出せて、チームにもプラスになれるのか、ということを考えながらキャンプを送ることができたかなと思っています」

ーキャンプ期間中にはW杯が開催されていました。

「やっぱり、羨ましいなと素直に思いました。プレーヤーとして、全世界であれだけ注目されることはなかなかないと思うので。僕もそこを夢として持っているので、羨ましいなと思いつつ、『自分にいま何が足りないのか』ということも考えましたし、単純に世界はすごいなと思いました」

ー特に印象に残った試合やプレーはありましたか?

「やっぱりスペインとフランスの準決勝ですね。誰もがフランス代表選手の個人技、個人の能力がものすごく高いことは分かるのですが、それを組織で上回るスペインを見て、やっぱりサッカーは集団スポーツだと改めて感じましたね。サッカーをやっている以上、あそこを目指さないと何が楽しいの?って、やっぱり思いましたね」

(後編に続く)

■中野就斗(なかの・しゅうと)
2000年6月17日生、東京都出身
ポジション:DF
桐生第一高ー桐蔭横浜大ー広島(2022~)

◆今西和男著
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