かつてカープ不動のリードオフマンとして、球団史上初の3連覇に貢献した田中広輔氏。その百戦錬磨の『選球眼』は、新戦力の台頭が目立った今シーズンをどう振り返るのか。ここでは、カープ若手選手たちのプレーについて、独自視点で解説する。(全2回/第1回)
今季は多くの若手野手が一軍での出場機会を得ました。みんな一生懸命プレーしていますが、一軍はただ一生懸命やれば良い場所ではありません。『勝つために、どうプレーするか』を考えることが求められる場所です。
例えば、自分が足の遅い選手なら走塁時にリードを少し大きく取っておく。前の打者が何球目に、どう打ち取られたのかを見る。チームメートの特徴を理解する。そういうことを常に考えてプレーする必要があります。
バントのミスや、ベースを駆け抜けて勢い余ってアウトになってしまうことも見受けられました。全力プレーでの結果でも、アウトになってしまえば意味がありません。その1つのミスで流れを失う可能性があります。きちんと計算してプレーし、セーフになった時に「ガッツ」を見せれば良いですし、悔しがるのは試合が終わってからでも良いと思います。
もちろん、プレーを見ていて「いろいろ考えているな」と伝わってくる若手選手はいます。考えすぎて苦しくなることもあると思いますが、経験を積み、リズムができれば結果にもつながってくる可能性が高まります。守備が得意な選手なら、終盤の守備固めなどで緊張感のある場面を経験できます。それが次のスタメンでの力にもなるものです。
そして、若手が多い今だからこそ、経験値の高いベテランのプレーを見てほしいと感じます。
先輩から指摘されることは、煙たく感じるかもしれません。でも、言う側にも体力がいるし、嫌われたくないという気持ちもあります。それでも言ってくれるのは、その選手を思ってのこと。「言ってもらっているうちが花」という言葉は、大切だと思っています。
(後編へ続く)
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