1990年にドミニカ共和国・カープアカデミーの開校から35年目のシーズンを迎えた。チェコ、ペレス、バティスタら多くのプロ野球選手を輩出したカリブの育成施設で、未来のカープ選手を見守る海外育成部・藤内裕夢(とうない・ひろむ)さん。アカデミーの今を知る藤内さんが、これからの展望を明かしてくれた。(全2回/第2回)
◆アカデミーから巣立った選手は、今も常に気にかけている
いま、日本ではフェリシアーノの人気が出ていますが、「ヒーローインタビューで苦戦しているようだ」という話を聞きました(笑)。6月にクレートも渡日したことでこれまでなかったフェリシアーノとクレートの2人が日本にそろうというケースとなったので、当地としては大変ですが、1番は日本で活躍する選手のサポートですので、日本で頑張ってもらい、アカデミーは今いるコーチ陣で頑張って指導しようと意気込んでいます。
こちらでも、日本の野球を動画で見ている選手もいて、コーチからもファビアン選手をはじめ、ドミニカ共和国の選手が頑張っていることを選手に伝えているようです。
彼らは『一軍の舞台でも当たり前のように全力疾走をしているから、あなたたちも見習いなさい』と伝えるなど、日本で活躍している選手をモデルケースとして取り上げ、参考にしてもらいたい取り組みとして紹介しています。
海外育成部としてやりがいを感じることは、カープアカデミーで練習してきた選手が、日本で活躍することです。私がこちらに着任した後に、トライアウトで入団した、デ・ロス・サントスと、メヒアの2選手は昨秋日本にいくチャンスをつかみ、秋季キャンプに参加し、現在四国アイランドリーグの愛媛マンダリンパイレーツに実戦経験を積むために派遣されていますが、彼らの状態が気になりますし、頑張ってほしいと願っています。まだ一軍の舞台で活躍はできていませんが、四国アイランドリーグで活躍し、いつかカープで活躍できるように頑張ってほしいです。
カープアカデミーは今年で35年目になりますが、ドミニカ共和国の選手が日本で活躍できるチャンスをカープアカデミーを通じて与えることができていることは誇りに思っています。過去に日本で活躍した選手もいますし、他球団にはない、自前で海外の選手を育てる考えが、カープ球団に浸透しているので、そういった考えで選手を育てて日本に良い選手を送り出したいですし、今後活躍する選手が出てくれば、さらにアカデミーの存在感も出てくると思います。
カープファンの方々が二軍で目にする選手は、カープアカデミーの中で一生懸命練習して、厳しい競争を勝ち抜いて日本行きの切符を勝ち取った選手です。まだまだ一軍レベルに達してはいないかもしれませんが、日本の選手と同じように温かい目で見守っていただければと思います。
「animo(アニモ)」という言葉がスペイン語で「頑張れ!」という言葉なので、ぜひ彼らにそう声をかけてあげれば、喜んでくれるはずです!
■藤内裕夢(とうない・ひろむ)
1998年7月26日生まれ
2022年に広島東洋カープに入社し、3年目の2024年より海外育成部へ異動し、現在はドミニカ共和国にて駐在員として活躍中。