実際、湘南戦以降の第17節の鹿島戦(△2ー2)、第18節のC大阪戦(△1ー1)では勝利こそつかめませんでしたが、チームが目指しているサッカーが見えてくる試合でしたし、何より選手たちがイキイキとピッチを駆け抜けていました。そう考えると、FC東京戦からの5連敗は決して意味がないわけではなかった。チームとしてあの苦しい期間を文字通り糧としてうまく昇華しているのだと感じました。開幕当初のスタイルで勝ち続けていたとしたら、おそらくここまで大きな転換はありえなかったでしょう。

 8月に向けて大切になってくるのは、このチャレンジを無駄にせず、いかに勝ち点を積み上げていくかということです。緩慢な動きをしている訳ではありませんが、鹿島戦、C大阪戦ともに前半に先制を許しています。どうしても前半、それも早い時間に失点を許してしまうと、ストレスがかかってきます。立ち上がりから自分たちのサッカーで試合を支配するプレーを見せてほしいですね。


(広島アスリートマガジン2019年8月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 吉田安孝(よしだ やすたか)
1966年11月22日生。広島県出身。元サンフレッチェDF。現在は広島テレビ「進め! スポーツ元気丸」などのサッカーコメンテーターとして活躍中。