今回振り返るのは2013年10月12日。カープが球団初のクライマックス・シリーズ(以下CS)を戦った日だ。敵地・甲子園球場に詰めかけた多くのカープファンの後押しを受けて、カープは“CS初の1勝”を記録した。

15勝を挙げるなど、シーズン通してエースとしての働きを全うした2013年の前田健太投手。

◆マエケン好投&キラ決勝弾で歴史的快勝!

 敵地・甲子園をカープファンが真っ赤に染めた。CS開幕投手を任された前田健太が「(ファンの声援が)力になった」と言えば、4番に座ったキラも「甲子園のファンは素晴らしかった。カープファンはいつも僕らの背中を押してくれている」と語るほど、甲子園球場に詰めかけたカープファンの熱気は凄まじかった。

 試合はこの年15勝を挙げる活躍を見せた前田健太と、高卒新人で初のCS開幕投手を任された藤波晋太郎との投げ合いで幕を開けた。3回までは共に両先発が無失点に抑えていたものの、4回に試合が動いた。

 カープの攻撃で梵英心とキラの連打から無死二、三塁とすると、5番・松山竜平がライト前にはじき返し、二塁走者の梵が先制のホームを踏んだ。その裏、前田健が2本のヒットで同点に追いつかれるも、直後の5回表。先頭の前田健のヒットなどで2死一、二塁となり、4番のキラが藤浪のカットボールを完璧に捉えた打球は虎党で埋まるライトスタンドに吸い込まれた。

 先発・前田健は立ち上がりから150キロ前後の速球を軸に、スライダーやチェンジアップを駆使。3回まで、4つの三振を奪い、1安打しか許さなかった。試合中に血マメができるなど、決して本調子ではない中で4回に1点を失ったものの、7回5安打1失点にまとめ、CS開幕投手に役割を十分に果たした。また、打ってもキラの逆転弾を呼び込むライト前ヒットを含むマルチ安打と、投打にわたり活躍を見せた。

 最終回には丸佳浩、岩本貴裕にも一発が飛び出し、結果的にカープが阪神を投打で圧倒。快進撃を続けCS進出を果たしたシーズン終盤の勢いそのままにファイナルステージ進出へ王手をかけた。

 敵地ながらカープファンからの大きな後押しを受けてつかんだ、CS初勝利。この日の勝利はカープにとって、そしてカープファンにとっても、後に続く黄金期への幕開けを予感させる大きな1勝だったに違いない。 

【2013年10月12日・試合結果】
カープ 8-1 阪神
(甲子園球場)
勝ち投手/前田健太 負け投手/藤浪晋太郎
本塁打/キラ1号3ラン(藤浪)・丸1号ソロ(筒井)・岩本1号3ラン(玉置)
観客数/46,923人 試合時間/3時間34分