1982年6月22日生、東京都出身。180㎝・102kg/2015年のメキシコ遠征を機に内藤選手が覚醒。一気に新日本プロレスのトップに躍り出た。写真は2009年8月15日、メキシコのテオティワカンで撮影された貴重なワンショット。

◆大事なのは“どう見られるか”じゃなく“何を見せるか”

 でも、確かに入門したばかりの頃は挫折的なものはほとんど味わっていませんけど、のちに、頑張っても、頑張っても結果が出ないというツラさは身に染みて知ることになりました。たとえばプロ野球選手でも、鳴り物入りで入団して早いうちから一軍で使われる選手もいるじゃないですか。

 でもそういう選手は期待が大きい分、結果を残せなかったときの反動も大きいと思うんです。それが焦りにつながって、どんどんと悪循環になっていくというか。

 オレもベルトを取ったりはしたけど、本当の意味で新日本プロレスのトップに立つことはできなくて、苦しんだ時期がありました。そのときオレは逃げるようにメキシコ遠征に行ったんですけど、そこで1カ月間じっくりと考えられたことが大きかったですね。

 それまではお客様からどう見られるかばかりを気にしていたけど、そうじゃないんだなと。どう見られたって構わない。そんなことよりも、一番大事にすべきなのは自分自身がリング上でお客様に何を見せたいかだなって。その心境の変化が大きかったです。

 もちろん皆様に求められているものを、求められた通りに結果を出すことも大事なことだけど、みんながみんな最初からそれができるわけではない。周囲からの期待とかいろいろあったとしても、まずは自分が何をしたいのか、そして何を見せたいのか。周りの目を気にすることよりも、自分自身がやりたいと思うことを堂々とやることの方がはるかに大事だと思いますね。

 この考え方はプロ野球にはなかなか当てはまらないとは思いますが、オレの場合はそういう意識をプロレスに持ち込んだ結果が、今につながっていると思います。育成から這い上がったカープの2選手を見ていて、当時のそんな気持ちを思い出しました。

では、今回はこのあたりで失礼させていただきます。次の連載まで、トランキーロ…あっせんなよ!