─ 現役生活最後の引退試合はどのような気持ちで迎えられましたか?

「本当にありがたいの一言ですね。僕の場合、病気があったからこそこ
こまで注目していただいたという事情があったかもしれませんが、それでも声援をいただけてうれしかったです。逆にプロ野球選手のプレーがいろいろな人に勇気を与えているということに気づけました。すごくたくさんの花束もいただいて、感謝しかありません」


─ 若手選手たちに伝えていきたいことはどんなことですか?

「考える意識を常に持ってほしいです。この練習は何につながっているのかということを考えると全然違いますから。調子が良くて一軍に上がれたとしても絶対に調子は落ちてきます。そういったときに『あのときこういう意識で練習していたな』ということを考えれば、また復活する可能性が出てきます。ただそのときの感覚に頼り切って練習していると、その感触はすぐに忘れてしまいます」


─ 最後にカープファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

「本当に長い間野球をやらせていただけたのは、みなさんの声援があったからだと思います。ファンの人の声援はパワーがありますが、実際応援してくれているファンの方々はそれに気づいていない方がものすごくいらっしゃると思います。僕はファンの方々にそのことを知ってほしいと思います。
ですから力が出ていない選手に対して思いっきり応援をしてほしいと思います。
ですがパワーがあるということは、弱っている選手に罵声を浴びせるとそれだけ選手を落ち込ませてしまうということです。ヤジを飛ばすのはもちろん自由ですが、自分たちの声援がとても力強いパワーを持っているということは知っておいてほしいです。
今後コーチになってファンの方に感じている恩をどのような形で返せるか、はっきりとは分かっていません。より多くの選手を一軍にあげることが恩返しなのか、僕自身が頑張ることが恩返しなのか、まだ明確にはなっていませんが、少しでもグラウンドに立ち続けていきたいという思いを持っています。
これまで応援本当にありがとうございました。これからもカープの選手たちへの応援をよろしくお願いします」


(広島アスリートマガジン2020年1月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 赤松真人 (あかまつまさと)
1982年9月6日生、京都府出身、37歳。平安高-立命館大を経て、04年ドラフト6巡目で阪神入団。08年1月に人的補償選手として広島移籍。広島入団後は俊足と巧守を生かして出場機会を増やす。10年には本塁打性の打球をキャッチし、その名を全国に知らしめ、ゴールデン・グラブ賞を受賞。16年オフに胃がんが発覚も、不屈の闘志で二軍戦に復帰。19年限りで現役引退を表明し、20年から二軍外野守備・走塁コーチに就任し、後進の育成に励む。