2017年、カープが2年連続でリーグ優勝を果たした。そのオフに行われたドラフト会議でカープは夏の甲子園で本塁打記録を更新した中村奨成を1位指名するなど、高校生を中心に育成を含めて9選手をの交渉権を獲得した。

 その年ごとに補強ポイントが異なるなか、未来の主力選手を発掘、指名していく過程でカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか? ここでは直近10年間に絞り、カープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。

 今回は夏の甲子園で大ブレイクを果たした中村奨成の獲得に成功した2017年のドラフトを振り返る。

それまでは即戦力選手の指名が目立っていたカープだが、2017年は一転して将来性志向のドラフトとなった。

 この年の注目は、何と言っても高校通算111本塁打の肩書きを持つ清宮幸太郎(早稲田実高)の動向だった。各球団からの評価の高さを示すように、実際のドラフトでは1995年の福留孝介(PL学園高)に並ぶ高校生最多7球団が1位指名。その中でカープは清宮ではなく、地元出身のホープである中村奨成(広陵高)の獲得に乗り出した。

中村奨成選手

 即戦力投手よりも捕手の補強を優先した中日と競合する形になったが、抽選の末に交渉権の獲得に成功。夏の甲子園で6本塁打を放ち、1985年に清原和博(PL学園高)が樹立した1大会の個人最多本塁打記録(5本)を更新した地元スターの獲得に、広島の街が一気に沸き立った。

山口翔投手

 以降は4位の永井敦士(二松学舎大付高)を除き、育成を前提とした素材型の投手を多く獲得。その中で2位の山口翔(熊本工高)は2年目に一軍昇格を果たし、プロ初先発でプロ初勝利を記録している。

遠藤淳志投手

 5位の遠藤淳志(霞ヶ浦高)も高卒2年目で早くも頭角を現し、プロ初勝利、プロ初セーブをマーク。20歳4カ月でのセーブは、今村猛の20歳5カ月を抜く球団最年少記録だ。

 上記の2投手からは出遅れたものの、今季は3位指名のケムナ誠(日本文理大)が一軍に定着。貴重な中継ぎ投手として、キャリアハイの数字を更新し続けている。

 なおウエスタン・リーグで防御率0.87(15試合登板)の好成績を残し9月26日に支配下登録された藤井黎來(大曲工業高)も、この年のドラフト指名選手である。

【2017年 カープドラフト指名選手】
1位:中村奨成(広陵高・捕手)
2位:山口翔(熊本工業高・投手)
3位:ケムナ誠(日本文理大・投手)
4位:永井敦士(二松学舎大付高・外野手)
5位:遠藤淳志(霞ヶ浦高・投手)
6位:平岡敬人(中部学院大・投手)
育成ドラフト1位:岡林飛翔(菰野高・投手)
育成ドラフト2位:藤井黎來(大曲工業高・投手)
育成ドラフト3位:佐々木健(小笠高・投手)