佐々岡真司氏を新監督に迎え挑んだ球団創立70周年の記念シーズン。結果は52勝56敗12分けで5位。2年連続のBクラスで2020年の戦いを終えた。

 ここでは、数々のドラマが繰り広げられた2020年ペナントレースの戦いを振り返っていく。

 今回は、6月19日のDeNAとの開幕戦(横浜スタジアム)。エースとして期待された大瀬良大地の投打にわたる活躍で快勝した試合をお送りする。

無観客で迎えた開幕戦。大瀬良大地選手が9回1失点で完投勝利。1点差の9回にはプロ初アーチを放つなど、投打にわたり活躍した。

◆3年連続開幕白星発進。守り勝つカープの野球で快勝

 新型コロナウイルスの影響で、約3ヶ月遅れの6月19日に開幕を迎えたプロ野球。2年連続で開幕戦のマウンドに上がったのは大瀬良大地。注目の新生カープ打線は、新外国人選手のピレラを1番に抜擢し、再起を期する堂林翔太が6年ぶりに開幕スタメンに名を連ねた。

「『開幕投手を頼むぞ』と言われてからは3月20日に向けて調整していたので、開幕延期が決定したときにはすごく残念な思いもありました。でも状況も状況なので仕方がないという考えもありますし、複雑な心境でしたね。ただ、世界的に見てもいろんなスポーツが中止になったり、先延ばしになっています。なので、時間が経つにつれて、今できることをとにかく精一杯やろうという気持ちでトレーニングに励んでいました」

 難しい調整を余儀なくされる中でも、練習試合で順調な仕上がりをみせ、6月19日に照準を合わせてきた大瀬良大地。 

 雨の影響で30分遅れで始まった試合は、カープのエース・大瀬良とDeNAのエース・今永昇太の投手戦。大瀬良は、2回にロペスにホームランを浴びて先制を許すも、以降は完璧なピッチングを披露。5回を本塁打による1失点に抑えて打線の反撃を待った。

 大瀬良の好投に応えたい打線は、5回、1死から、今季から選手会長に就任した田中広輔が左中間を破る三塁打を放つと、続く大瀬良が初球をセンター前に運び同点。2020シーズン、そして佐々岡監督にとっての初得点はエース大瀬良のバットから生まれた。続くピレラがこの日2本目の安打でつなぐと、3番西川龍馬がライト線へタイムリー。一気に勝ち越しに成功し、昨年0勝5敗と一度も負けをつけることができなかった天敵・今永を攻略した。

 6回以降も続投した大瀬良は、8回に1死三塁の同点のピンチを招くも、この回から守備固めでサードに入った三好匠の好守もあり無失点。このピンチをしのいだ後の9回、2死から大瀬良がライトスタンドへプロ初アーチ。続くピレラも来日初アーチを放ち、勝負を決めた。

 同点打にホームラン。バットでも活躍した大瀬良は9回を投げて1失点。116球の熱投で最後までマウンドを守りぬき、エースとしての存在感を示した。

「年齢的にも投手陣を引っ張っていかなければならない立ち位置になってきていると思っています。練習から僕がきっちりとした態度を示すことで『大瀬良さんがあれだけやっているのだから』と何かを感じてくれる選手もいると思うんです。そういう雰囲気づくりを心がけていますし、『この場面であればマエケンさん(前田健太)ならこういう風なことを思うだろうな』とか、『黒田さんならこういう風に考えるだろうな』と、現在の立場だからこそ、思い出すことはありますね」

 カープが誇る2人の偉大なエースの影響も受けながら成長を続ける大瀬良。プロ7年目のシーズンを最高の形でスタートし、初陣を迎えた佐々岡監督、そして、開幕を待ち望んでいたファンに最高のプレゼントを届けた。

●試合結果
6月19日
カープ5ー1DeNA
勝:大瀬良 1勝  負:今永1敗
本塁打:(広)大瀬良1号、ピレラ1号(De)ロペス 1号