今季のドラフトでは育成選手を含め、全7選手を指名したカープ。今季10勝をマークするなど大活躍を見せた森下暢仁の一本釣りに成功した昨年に続き、今ドラフトも社会人ナンバーワン投手と注目されていた栗林良吏(トヨタ自動車)の単独1位指名に成功した。

 ここでは、長年アマチュア球界の好投手たちの球を、実際にブルペンで受けた上で選手を取材し続ける“流しのブルペンキャッチャー”こと安倍昌彦氏にドラフト2位指名・森浦大輔の特徴について語る。

カープからドラフト2位指名を受けた天理大・森浦大輔投手。

◆左打者をしっかり攻め切れるスタミナ抜群の左腕

 2019年のドラフトで指名された石原貴規と同じく天理大からカープに指名されたのが森浦大輔投手です。サウスポーの森浦投手の最大の武器はクロスファイヤーとチェンジアップです。右打者、左打者に関係なく外に逃げていく、そして対照的な球を持っている点が彼の投球の生命線といっても過言ではありません。

 また森浦投手は左打者を苦にしないタイプの左投手です。読者の方々の中には意外に思われるかもしれませんが左投手に話を聞いてみると、左打者に対して苦手なイメージを持っている投手は決して少なくありません。その点彼はしっかりと左打者のインコースに球を投げ切れますし、足下に投げるチェンジアップは打者にとって非常に厄介な球です。

 投手としてのタイプを大まかに言うならば、DeNAの今永昇太(駒沢大・2015年ドラフト1位)でしょうか。現在の今永投手はがっちりとしていますが、大学時代は現在の森浦投手に近いスラっとした体型でした。もしかしたら森浦投手の体格を見てスタミナ面の不安を感じる方もいるかもしれませんが、私の見解としてはその点に関してあまり心配はしていません。というのも経験上、華奢な投手の方が意外とタフな投球をすることが多いからです。もちろんウェートトレーニングはプロに入っても必要だと思いますし、将来的にはプロ野球を戦い抜くだけの体つきになっていくのだと思いますが、現時点でも十分球数を投げられる体力は持ち合わせています。

 そういう意味でも、森浦投手も栗林投手と同じく1年目からの先発ローテーション入りを期待したい投手です。周囲からの期待を力に変えて、ぜひ1年目から活躍する姿を見せてほしいですね。