シーズンの大半で先発ローテーションを守り抜き、チーム勝ち頭となる10勝をマークした森下暢仁。またリーグ2位の防御率(1.91)も記録するなど、文句なしの成績で2014年の大瀬良大地以来となる新人王に輝いた。ここでは森下のタイトル獲得を祝し、2000年代以降に活躍したカープの歴代新人王を振り返る。

2014円に球団史上9人目の新人王に輝いた大瀬良大地投手。2020年は無念の故障離脱となっただけに、“令和のエース”として早期の復帰が期待される。

◆2006年新人王/梵英心「37年ぶりの新人開幕スタメン&球団の新人最多安打記録を更新」
<2006年成績/123試合/450打数130安打/本塁打8/36打点/盗塁13/打率.289>

 2005年のドラフトで大学生・社会人ドラフト3巡目指名を受けた梵英心は、1年目から即戦力の名に恥じぬ活躍を見せた。オープン戦から好調をキープし、球団では37年ぶりとなるルーキー開幕スタメン(6番セカンド)の座を奪取。中日の川上憲伸からプロ初ヒットを放つなど、プロ野球選手として華やかな第一歩を踏み出した。シーズン終盤の9月、守備練習中にイレギュラーした打球を顔に受け一時登録抹消というアクシデントがあったものの、公約通りシーズンの大半を一軍で過ごすことに成功。結果、123試合出場、打率.289、130安打、8本塁打、13盗塁と好成績を残し、球団の新人最多安打記録(112本)も更新する活躍で見事、球団野手では1984年の小早川毅彦以来となる新人王を獲得した。

◆2012年新人王/野村祐輔「新人投手では46年ぶりとなる防御率1点台を記録」
<2012年成績/27試合9勝11敗/完投0/172.2回/防御率1.98>

 菅野智之(巨人・東海大)、藤岡貴裕(入団時ロッテ・東洋大)と共に“大学ビッグ3”の一角として、2011年ドラフトで大きく注目を集めた野村祐輔。ドラフト1位の鳴り物入りでカープに入団すると、開幕から先発ローテーション入りを果たし、前半戦だけで7勝をマークした。オールスターゲームにも選出され、3回無失点の好投で敢闘賞を受賞。1997年の澤﨑俊和以来となる新人二桁勝利とはならなかったが、エース・前田健太に次ぐ存在として開幕から先発ローテーションを守り続けた。9勝11敗と負け越したものの、新人投手では46年ぶりとなる防御率1点台(1.98)を記録。新人王を決める投票では200の得票数を集め、見事に新人王に輝いた。

◆2014年新人王/大瀬良大地「初勝利から5連勝を飾るなど先発ローテの一角として躍動」
<2014年成績/26試合10勝8敗/完投3/151回/防御率4.05>

 2013年のドラフト会議でヤクルト、阪神、そしてカープが1位指名。田村恵スカウトの執念が実り、競合抽選の末にカープが交渉権を獲得した。即戦力右腕の肩書通り開幕から先発ローテーションの一角に食い込むと、4月16日の阪神戦(マツダスタジアム)でプロ初勝利を記録。4月中旬から1カ月以上首位を快走するチームに呼応するように、大瀬良自身も初勝利から5連勝という快投を見せた。交流戦を境に一度、状態を崩す時期はあったものの、9月にはプロ初完封、10勝をマーク。クライマックス・シリーズのファーストステージ第2戦の先発を任されるなど、ルーキーイヤーから投手陣の軸となる働きを見せ、球団9人目となる新人王のタイトルを手中に収めてみせた。