お笑い芸人として活躍中のザ・ギース尾関高文氏の本連載。これまでカープに在籍した歴代外国人選手を、時には厳しく、時には優しく、時にはユーモアを交えながら、尾関氏ならではの視点で紹介していきます。今回は、ボークの日本記録をつくったこともある右腕・ブロック投手について語っていただきます。
◆4月終了時点で早くもボークが4つ……
球史に名を残した助っ人外国人は数多くおりますが、本人からしたら少し不本意な残し方となった選手もたくさんいることでしょう。
“ボークのシーズン記録11”
元カープ、クリス・ブロックが残した当時のボークの日本記録です(2007年に元阪神のジャンが12で更新)。
ボークというのは平たくいうと、バッターが不利にならないように、ちゃんとしたタイミングで投げましょう、というルールです。投球動作の前にしっかりと静止せずボークとなってしまうケースがほとんどですが、助っ人外国人によく見られる反則でもあります。
アメリカとのリズムの違いもありますが、大抵はすぐに激昂する選手にありがちです。ついカッとなって止まるのを忘れてしまった、というやつですね。
この数字が示す通り、すぐにカッとなるブロックではありましたがこの“ボーク11”という数字だけでは計れない、カープのために身を粉にして投げてくれた思い出深いピッチャーでもありました。
ブロックが日本に来たのは2003年。カープのユニフォームが縦縞となり、金本さんが阪神へ行き、ビッグレッドマシンから新たな世代への交代が始まった時でした。
前年の助っ人ピッチャーに“期待”という感情を抹殺された我々に、ハンサムなブロックは何かしらの予感を感じさせてくれました。
来日して最初のコメントは「カープのために一生懸命頑張りたい。チームが投げろと言えばいつでも投げて勝利に貢献したい」という素晴らしいもの。
もう一度助っ人ピッチャーを信じていいのかもしれない。そんな我々の期待に応えるようにブロックは「なんとなく」頑張ります。
バリバリに完封するでもなく、しこたま打たれるでもなく、なんとなくそれなりに投げてくれるブロック。しかし4月が終わった時点でボークが4つ。なんとこの時点で江本孟紀さんのシーズン記録10ボークがうっすらと見えてきてしまっていたのでした。