◆「同じ方向を向いて」

ーさて、2011年こそは……と期待するファンも多いことかと思います。

「オフはパーティーだったりイベントだったり、いろんなところでファンの方と触れ合う機会が多いのですが、改めてというか、しみじみというか、ありがたいなあと思いますね。カープのファンというのは独特の熱さを持っているというのか、ちょっとしたことでもドーンと盛り上がって、こっちを乗せるのが上手なんですよね。喜びや悔しさが直球でドーンと伝わってくるというか。自然とそういう雰囲気をつくってくれますし、ファンに支えられているんだなというのを改めて実感しました。こうやって応援してくれる人が１人でもいるんだったら、そういう方たちのために頑張ろうと思いますよね」

ー球場でも同じことを感じますか？

「スタンドのヤジが解説っぽいというか（笑）、野球をよく知っている人が多いと感じますね。まあ結果が出ていないときはヤジられて当然だし、そういうヤジも逆襲の肥やしとして、歓声に変える努力をしないといけません」

ーそうするためには、チームとして結果を出さなければいけませんね。

「目の肥えているファンの人たちはいろんなことを敏感に感じているでしょうし、そういう意味でも同じ方向を向いて戦っていきたいです。球団も選手もファンも、モチベーションの方向はバラバラでも、戦うときは常に同じものを目指して。それが逆襲ということになって、いい結果に繋がればいいと思いますね」

《プロフィール》
石井琢朗●いしい・たくろう
1970年8月25日生、栃木県出身
174cm78kg／右投左打
足利工高-横浜-広島（2009年）
2008年、横浜からカープに移籍。安定した守備と打撃でも存在感を示し、芸術的なバットコントロールで規定打席未到達ながら打率3割を記録。2012年に現役引退するまで内野手として活躍した。引退後は2017年までカープでコーチを務め、25年ぶりのリーグ優勝を支えた。現在は横浜DeNAベイスターズの一軍野手総合コーチ。