―現在の具体的な研究テーマについて教えてください。

「今は『野球の盗塁』に関する研究をしようと思っています。1塁ランナーが2塁に盗塁する時、スタートが早い人はピッチャーのどこを見ているのか、逆に遅い人はどこを見てしまっているのかということを調査します 。また、単純な走力とスタートの早さを組み合わせて、『スタートが早くて足も速い人』『スタートは遅いけど足は速い人』など4つのグループに分け、それぞれの視覚的な特徴を細かく見ていこうと考えています。

 実際にはアイトラッキングができる機械(サンバイザーのような視線計測器)を装着してもらい、対象者が何秒間どこを注視しているかを見る予定です。外で実際にピッチャーを立たせてやるのは制限があって難しい部分もあるので、モニターを使って映像を流し、自身で『ここで走る』という判断のスイッチを押してもらう方法なども先生と相談しながら進めています」

―専門学校と大学院で、学びの環境はどのように違いますか?

「専門学校はアスレティックトレーナーになるための勉強や資格試験に向けた勉強がメインで、決められたカリキュラムで学んでいく『集団行動・集団プレー』のようなイメージでした。入ってくる情報もトレーナー系のものが多く、その分深く濃いものでした。

 一方、大学院は完全に『個人プレー』です。修士の2年間で将来何をしたいかによって、過ごし方が全く変わってきます。授業も教科書はなく、自分が読んできた先行研究の論文を資料にまとめて発表し、それに対して『どうやって自分の研究につなげるの?』とディスカッションをする形式が基本です。

 また、研究室に行けば先輩や同期がいて、教育学部やバイオメカニクスなど、自分の専門とは全く違う分野の人たちとも交流があります。分野は違ってもすべてスポーツに繋がる部分なので、『この間のあの話、自分の研究のこういうことなんだな』と新しい発見やアイデアに繋がることが多く、日々がとても刺激的で楽しいですね」

―最後に、今後の目標と、後に続く専門学校の後輩たちへのメッセージをお願いします。

「根本として『スポーツに関わる仕事をしたい』『教育現場で指導したい』という強い思いがあります。将来的には、自分がトレーナーをやるというよりも、自分が研究したことや得た知識を活かして、後輩たちやトレーナーを要請・指導するような教育現場や研究職に進みたいと思っています。

 後輩たちに伝えたいのは、資格を取ってそこで終わりと固執せずに、広く色々な道を見てみてほしいということです。自分自身、学科(4年制)の1期生であり、専門学校から大学院に進学したのは初めてのケースになりました。自分が新しい選択肢としての道を切り拓けたのかなと思いますし、実際に下の学年でも大学院進学を目指して合格する学生が出てきています。専門学校を出てすぐ就職するだけでなく、その先も学べる環境があるということを知って、ぜひ広い視野を持って挑戦してほしいです」