2026/27シーズン、好調なスタートを切ったサンフレッチェ広島。古巣復帰を果たした選手、新たな戦力として加わった選手、今季出場機会を大きく増やしている選手……それぞれの選手が持ち味を発揮し、リーグタイトル奪取に向け着実に勝点を積み上げている。ここでは、クラブOB・吉田安孝氏が独自の視点で今季のサンフレッチェを分析。チーム内で良い競争が生まれているという、その背景も解説する。(全2回/第2回)

新シーズンも広島で指揮を執る、バルトシュ ガウル監督

◆『フラットな評価』が、指揮官への信頼につながっている

 フィールドプレーヤーでは、鮎川峻が徐々に出番を増やしています。

 鮎川は百年構想リーグで育成型期限付き移籍から広島に復帰しましたが、大会中は出場機会に恵まれませんでした。今シーズンは8月26日の天皇杯・沖縄SV戦で途中出場し、1ゴール1アシスト。その後はリーグ戦でも途中出場の機会を得て、9月2日の名古屋戦でも3得点目をお膳立てしています。

 「結果を出せば、試合で使ってもらえる」。フラットな目線で評価してくれる監督は、選手側からしても信頼のできる監督です。

 ただこれは裏を返せば、「少しでも気を抜くと取って代わられる」ということでもあります。レギュラークラスのメンバーも危機感を覚えているでしょうし、そのなかで良い競争が生まれ、さらに選手全員がレベルアップしていくことが期待できます。

 開幕前から大きな注目を集めていたセバスティアン アレーも、想像以上の早さでチームにフィットしている印象があります。開幕戦こそ途中出場でしたが、その後はスタメン出場の機会も増やしており、ピッチ上では得点以外の面でも素晴らしいプレーを見せてくれています。守備の貢献度も高く、起点をつくることもでき、ポストプレーもできる。周りの選手を活かす動きも非常にうまいですね。

 アレーの1トップ、加藤陸次樹と鈴木章斗の2シャドーのフォーメーションが多いですが、シャドーのふたりがイキイキとプレーできるのも、アレーが前線にいるからこそです。鈴木も順調にゴールを重ねる好調なスタートを切っていますが、これもアレーが加わったことによる良い影響の一つだと思います。

 守備の面では、ここ数シーズンはなかなか見られなかった試合中に4バックに変更するなどの戦術の転換が見られました。

 高い能力のある選手がそろっているので、試合中のフォーメーション変更も臨機応変に対応していくことができます。ピッチに立っている選手の顔ぶれに合わせてシステムや攻撃のパターンを変えることができますし、そういう意味では「次はどんな攻撃をするんだろう」と見る側にも楽しみが生まれます。

 今季はこれまで以上に、全ての選手がタイトルを意識しているはずです。また、クラブのタイトルへの強い思いも、補強のニュースを見るたびに感じられます。ファン・サポーターのみなさんも、それらを肌で感じているのではないでしょうか。

 リーグタイトルへの期待の高まる2026/27シーズン、エディオンピースウイング広島で躍動する紫の選手たちを、より一層熱い声援で後押ししていきましょう!

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。