佐々岡監督のもとV奪回を目指すチームに加わる若鯉7選手が大野寮へ入寮した。この企画では、ドラフト指名後に行った独占インタビューをもとに、カープに仲間入りを果たした新入団選手の決意を紹介していく。今回は、即戦力として期待の大きい、ドラフト3位・大道温貴投手の意気込みをお届けする。

ドラフト3位でカープに入団した八戸学院大・大道温貴投手。先発もリリーフもこなせる即戦力右腕として、1年目からの活躍に期待がかかる。

◆目指すのは球場の雰囲気を変えることができる投手

 大学4年間で一気にドラフト上位指名候補へと成長した大道温貴。大学4年秋のリーグ戦では、スピンの効いたストレートを武器に36回を投げて60三振を奪う快投をみせるなど、弾みをつけたうえでカープのユニフォームに袖を通した。

 先発もリリーフもこなせる即戦力右腕に託された背番号は、昨年まで九里亜蓮がつけていた「12」だ。

「九里さんが結果を残されて僕にわたってきた番号なので、活躍して、もっと12番に重みをつけていきたいです。じつは、普段やっているスマホの野球ゲームがあるのですが、カープの選手で、ゲーム開始当初から使っていたのが九里さんでした。そういったご縁もあって、番号を提示された時は、喜びと共に驚きもありましたね」

 大道が歩んできた人生を振り返ると、小学生の頃にシンガポールでの生活を経験するなど、多彩な経歴が目をひく。目まぐるしく変わるライフスタイルを重ねるうちに、大道は、どんな環境にも対応できる“柔軟性”を身につけていった。

「埼玉県川口市出身ですが、そこではあまり長くは暮らしていません。両親の仕事の関係で、どんどん住環境が変わっていくなかで、環境や食生活に関して、不満を感じることは少なくなりました。だからなのか分かりませんが、プライベートでも野球でも、考え過ぎたり、深く落ち込むことはほとんどありません。どちらかというと、当たって砕けろタイプ。広島は初めて訪れる場所ですが、楽しみのほうが大きいです」

 大道の特徴は独特の軌道を描き打者を翻弄する力強いストレート。そこに曲がりの大きいスライダー、キレ味鋭いスプリットを織り混ぜ、打者に立ち向かっていく。

「球速も大事ですが、一番意識しているのは打者が感じる体感速度。ストレートはスピンを効かせることで、ホップ気味に浮き上がるボールを意識しています」

 高校時代までは無名だった大道が飛躍するきっかけとなった青森での4年間。高校3年時にメディアが展開するプロ注目選手企画に、自身の名前が掲載されなかった悔しさを力に変えて過ごす大学4年間となった。

「見方によっては関東から逃げたと思われたかもしれませんが、僕の中では本当に充実した4年間でした。今回のドラフト前に注目選手として名前をあげてもらい、ドラフトで指名してもらえたのは、八戸学院大に来たおかげだと感謝しています。ずっと頭に描いている投手像は『球場の雰囲気を変えることができるピッチャー』。野球は投手から始まります。そういう意味では、投げるボール一つで、雰囲気を変えることができるのもピッチャーだし、それが投手の醍醐味だと思っています」

 大道はTwitterやInstagramで、ファンに向けてメッセージを送るなど、自身の想いをネットにのせて届けてきた。

「SNSは監督さんやチームメイトに協力してもらいながら続けてきました。SNSはファンの方々とのコミュニケーションを育むことができるツールでもあると思うので、プロ野球選手になってからも続けていけたらいいなと思います」

 目標にするのは、大リーグで活躍する前田健太(現ツインズ)。かつてのカープのエースが積み重ねてきた”数字”や“存在感”に近づくことができるよう、1年目から全力でアピールを続けていく。

◆大道温貴(おおみち はるき)
1999年1月20日生
21歳/右投右打
178cm・83kg
春日部共栄高ー八戸学院大