サンフレッチェ広島の開幕カードが決定した。今季は2月27日(土)のベガルタ仙台戦(エディオンスタジアム広島)から始動。4チーム降格というシビアなシーズンを目前に控えるなか、サンフレッチェOBの吉田安孝氏が、今季のテーマについて言及する。

城福浩監督は昨年末のシーズン総括会見で、今季カギを握るのは森島司選手ら2シャドーと明言した。

◆佐藤寿人のような日本人の点取り屋をつくることが課題

――開幕日も決まり、いよいよ2021年度のJ1リーグが本格的に動き始めました。OB目線で今季のサンフレッチェに望むものは何になるでしょうか?

「やはり先日引退した佐藤寿人のようなストライカーを育てることですよね。これはサンフレッチェだけに限った話ではなく日本全体の課題かもしれないですけど、とくにサンフレッチェは日本人の点取り屋をつくっていかなければいけません。ゴール前までボールを運ぶことはできているので、あとは何度も話していますように最後の部分の質、決定力ですよね」

――その中で昨季、リーグ3位の15得点を奪ったレアンドロ・ペレイラ選手が期限付き移籍期間満了により退団。その一方で柏から横浜FMに期限付き移籍していたジュニオール・サントス選手が、完全移籍という形で加入することになりました。

「サントスの加入は非常に大きいです。この選手が加入すればレアンドロ・ペレイラの退団がチャラになる、というくらいの選手でした。それどころか上手くいけば、サントスの方がハマる可能性も十分あります」

――昨季はリーグ5位の13得点を挙げていますね。

「非常に動ける選手ですし、横浜FMでやっていたパスサッカー、コンビネーションにもうまくフィットしていました。城福監督が求める“前からの守備”とか、そういうものをクリアしていけば面白い存在になるのは間違いないでしょうね。ヘディングも強いですし、かなり期待できるのではないでしょうか」

――その上で主力選手も、ほぼ契約を更新しました。

「メンバーがそれほど変わらない中でシーズンをスタートできるのは大きいですよね。新型コロナウイルスの影響でキャンプ(宮崎、鹿児島)がどうなるか分かりませんが、戦術はほぼ全選手に浸透しているわけですから、フィジカルさえ整えば開幕から好スタートが切れるのではないかと思います」

――今季のテーマは何になるでしょうか?

「これは何度も言っていることですが、今シーズンはとにかくシビアに、まずは下位争いをしない。J2に降格しない。J1残留というのが大きなテーマになります。レベルが低いと言われるかもしれないですけど、本当にそこが大事だと思います。なにしろ今季は4チームが降格になるわけですからね。そのためにもリーグの中盤、終盤になって焦ってプレーをするのではなくて序盤戦で勝ち点をしっかり積み上げる。もちろん面白いサッカーを展開してほしいですが、まずは手堅いサッカー。それで勝ち星を確実に積み上げていくことが何より大事になりますね」