飛躍が期待された昨季は、キャンプでつまづき周囲の期待を裏切ることとなってしまった山口翔。 一軍先発ローテ奪取を掲げ、“下克上”を誓う若鯉に2021年シーズンへの、熱い意気込みを聞いた。

2020年は一軍登板なしに終わった山口翔投手。今季は直球に磨きをかけ再び一軍のマウンドを目指す。

— 山口投手にとって、昨季はどのようなシーズンでしたか?

「キャンプの出だしから、自分の思うような球も投げられなくて、そこからそのままズルズルと悪いまま進んでしまったシーズンでした。二軍でやっていても思うようにいかず3月、そして8月にはケガもあったので、本当に不甲斐ないシーズンでした。シーズン通して何もできていませんが、ケガをしている時は余計に『何をしているんだろう』という思いが強かったですね」

— 二軍ではどのような点を意識して練習に取り組まれていたのでしょうか?

「自分の魅力が直球であることは間違いありませんし、もう一度力強い直球を投げたいと、そういう思いで練習をしていました。フェニックス・リーグでは確率は低いながらも、ある程度自分が良かった時の球を投げられていたと思います」

— 逆にフェニックス・リーグで感じた課題はどんな点になりますか?

「一番は先頭打者に対しての入りだったり、ボール先行が多かったことは反省しています。それを繰り返してしまうと、リズムも悪くなるし、ランナーがたまってくると、自分自身苦しい投球になってしまうので、やっぱりストライク先行を心がけていきたいですね」

— オフの自主トレは大瀬良大地投手と共に行っています。どのような思いがあったのでしょうか?

「まず昨年ケガをしてしまった際に、(大瀬良)大地さんにいろいろと相談しているうちに『まずは自分の体のことを知った方が良い』ということを言われたんです。体を治すことも大事だけど、原因が分からないとまたやってしまうということで、それがすごく印象に残っていたんです。その他にもいろいろなお話をする中で大地さんと一緒に自主トレをさせてもらうと決意し、12月の中旬頃に声をかけさせてもらいました」

— 大瀬良投手からの返答はどのようなものでしたか?

「すぐに『良いよ』って言ってくれて、本当にありがたかったです。やっぱりこちらからお願いするのも躊躇する部分はありますし、大地さんの邪魔になってしまったら申し訳ないなと思ったんですけど、でもお願いして本当に良かったと思います」

— 実際にトレーニングを共にして一番感じたことはどんなことですか?

「大地さんは練習を一つをやるにしても、常に野球につながるようにということを考えていると思わされました。自分の場合、昨季までだったら練習をただやっているだけだったんです。大地さんは、こういう球を投げるためにはここを鍛えなければいけない、そのために今こういう練習をしているということを、一つひとつ丁寧に教えてくれます」

— 大瀬良投手のメニューを見て何か思うことはありましたか?

「走り込みの量に驚きました。大地さんは『俺も今年で30歳だし、おじさんだよ〜』なんて言っていますが、若い僕よりも全然走り込んでいます。大地さんから言われたのは『若い頃しっかり走っていて、その貯蓄があるので、今走れる部分はある。お前も走れるときにしっかりと走っておけ』ということです。その言葉を聞いて、率直に、今まで自分は一体何をしていたんだろう……と、そういう気持ちになりましたね。練習に対する意識の面でものすごく刺激を受けましたし、良い時間を過ごさせてもらいました」

Vol.2に続く