ルーキー時代から先発投手としてのキャリアを続けている野村祐輔。これまで先発登板した183試合中79試合で石原氏とバッテリーを組み、2016年に最優秀バッテリー賞を受賞した経験を持つ右腕が、名捕手・石原氏への思いを語る。

昨年10月に行った右鎖骨下静脈血栓症除去手術からの復活を目指す野村祐輔投手。

◆本当にすごいと思ったキャッチング

 石原さんの技術面で本当にすごいと思うのがキャッチングです。自分が投げている時もそうなんですが、見ていてもそう思うんです。

 意外と自分が投げている時は見えていない部分もあるんですが、他の投手が投げている試合中だったり、キャンプの時のブルペンでのキャッチングを見ていると特に感じました。とにかくミットがバシッと決まって動かないんです。これは本当にすごいなと思っていました。

 多くの登板でバッテリーを組ませていただいたのですが、一番印象に残っているのは、2016年に新井(貴浩)さんが2000安打を達成した翌日(4月27日・ヤクルト戦(神宮))に完封した試合ですね。僕は完封がその1回しかないのですが、実はこれまで完投した試合は全て石原さんとのバッテリーなんです。

 それだけに、石原さんと組んでプロ初完封ができた登板は忘れられないですね。そのシーズン、チームは25年ぶりに優勝して僕は最多勝を獲ることができたのですが、石原さんと一緒に最優秀バッテリー賞を受賞できたのも本当にうれしかったです。

 石原さんからたくさんのアドバイスを受けた中で印象に残っているのは、「大きなフォームで投げろ」とずっと言われてきたことです。僕が悪いときは、投球フォームが縮こまって見えてしまっているので、そこは一番多く言われた部分でした。

 あと、僕はどちらかと言うと丁寧に投げようとする投手なので、その逆のことを言われていたと思うんです。大胆に投げろと。それはすごく意識するようになりましたし、今までもそうでしたし、これからも大事にしていきたいところです。

 ルーキー時代からバッテリーを組ませてもらう中で、本当にたくさんの事を勉強させてもらい、感謝しかありません。本当に長い現役生活お疲れ様でしたとお伝えしたいですし、僕自身、石原さんとバッテリーを組んで教わったことを今後の野球人生につなげていき、もっと良い投手になれるように頑張っていきたいと思います。