森﨑浩司氏と同じ左利きのボランチとして、将来を嘱望されている土肥航大選手。

 コロナ禍で揺れるなか、J1リーグの開幕戦が目前に迫ってきた。ここでは、さらなる飛躍が期待されるサンフレ戦士を編集部目線で紹介していく。

 青山敏弘、川辺駿というサンフレッチェの顔とも言える選手と同じボランチで、日毎に存在感を増しているのが土肥航大だ。昨季は途中出場だけではなく、ボランチの一角としてスタメンも経験。昨年末にはプロA契約の締結条件である450分(J1)の試合出場時間を超過し、プロA契約締結に合意している。

 とはいえ、当の本人は昨季のパフォーマンスに疑問符をつけている。出場を重ねるごとに自信を積み重ねていただけに、なおさら「もっとできた」という思いが込み上げてくるという。

「スタメン出場した横浜FC戦(11月14日)は、球際で負けているところが多かったです。その部分を改善しようと思って柏戦(12月16日)に臨んで、そこはガツガツ行けたので少しだけ成長を感じることができました。でも、まだまだですね。いろいろな意味で50点以下の出来だったと思います。点数で言えば30点くらいですね」

 広島ユース時代には主力として高円宮杯U-18優勝に貢献。2019年にプロ契約を締結するなど、ここまでは順風満帆なようにも見えるが、土肥自身はプロで過ごした2年間に納得の気持ちはない。主力選手の壁は厚いが、今季は当然ながら昨季を上回る活躍を自分自身に課している。

「目標とする数字は5得点、5アシストですね。得点に絡みたいです。実際にピッチに立ってみないと分からないこともありましたけど、出場を重ねていく中で『意外にやれるんだな』と感じているので自信を持ってプレーし続けたいと思います」

 昨季9月の大分戦で走行距離がトップ(13.143キロ)だったことからも分かるように、攻守にわたりチームへの献身性も高い。そこに得点、アシストの数字が加われば、スタメン定着も一気に現実味を帯びてくる。

「今季も球際の部分、外国人を吹っ飛ばすところを見てほしいです。そこは負けられないですし得意としているところなので、昨季よりもっと激しくいけば、もっとやれると思います。なので試合では球際の部分に注目してください」

 2チーム増による試合数の増加。また五輪期間中は公式戦が中断となるなど、今年も昨年と同様に過密日程となる。となれば、現在はサブ組に甘んじている選手のチャンスも必然的に増えてくる。ブレイクの兆しを見せている左利きボランチが、新システムで臨むチームの起爆剤となる。