今季のカープ打線で一際注目を集めているのが、新外国人のケビン・クロンだ。ここではカープOBでプロ野球解説者を務める笘篠賢治氏が、新助っ人と若手選手について言及する。

積極的に鈴木誠也選手のバッティング技術を吸収するクロン選手。

◆羽月隆太郎を見ていて気になったこと

 打線の中心、破壊力の増加という面で期待したいのが新外国人のクロン選手です。打球の印象としては、まず彼の打球はセンター方向に伸びていきます。バリバリのプルヒッターというわけではなく、球の内側を叩くイメージでコンタクトできる打者だと見ていますので、おそらく打撃の修正力も一定のものを持っているはずですし、大砲タイプの外国人選手にありがちな外のスライダーにからっきしというタイプではないと思います。

 報道ではエルドレッドが担当スカウトだったということもあり、エルドレッドのようなタイプの打者と言われているようですが、エルドレッドよりも柔らかさを持った打者で、変化球に対する対応力もある程度備えているように見受けられます。とにかくクロン選手に求められているのは鈴木選手と共に打線の中で存在感を見せること、具体的に言うと長打を生んでいくことです。どんどん打点を稼いでチームの勝利に貢献してほしいですね。

 そして、今回のキャンプではルーキー含め若手選手が数多く参加していましたが、なかでも羽月隆太郎選手に私は注目していました。菊池選手と比較するのは酷ですが、それでも足捌き等々守備ではなかなか光るものを見せています。

 常勝チームになるためには、レギュラーが健在であるうちに活きの良い2番手を育成しておくことです。菊池選手という絶対的レギュラーがいるからそれで良いというわけではなく、チームは常に選手を育成していかなければならないのです。

 しかし羽月選手について少し気になる点がありました。それは打撃練習をしていた際に、上から叩きつけるような意識が強すぎるのではないかということです。左打ち、体も小さく足も速いとなればとにかく出塁を意識するのも分かるのですが、あくまでも叩きつける打撃は状況に応じて行うことだと考えるべきでしょう。甘い球にはレベルスイングでヒットを狙っていく意識がないと、もったいない打席が増えてきてしまうと思います。

 他球団になりますが左打ちの理想としては中村晃選手(ソフトバンク)がいます。彼も決して体は大きくないものの、レフト、センター、ライトすべての方向に鋭い打球を飛ばせます。羽月選手にもまずはクリーンヒットを打っていく意識を身につけてもらいたいですね。