リーグ連覇を成し遂げた2017年以来、4年ぶりに河田雄祐コーチがカープに復帰した。春季キャンプではいち早く選手の中に溶け込み、“常に次の塁を狙う”カープ伝統の機動力野球復活を提唱。ここではカープにまつわる『赤ヘル機動力のうんちく』を数回にわたり紹介する。

故金田正一氏と共に名球会入りした前田智徳を祝福する山本浩二。

 球団創立当初から『走る野球』を全面に押し出してきたカープだけに、機動力、盗塁に関する“うんちく”は盛りだくさんだ。なかでも1980年代前後の昭和黄金期は、古葉竹識監督の方針のもと常に次の塁を狙う意識が徹底されていた。

 それを表すように昭和黄金期の象徴である山本浩二と衣笠祥雄の“YK砲”も、出塁すれば先の塁を盗む意識を持ち合わせていた。両者ともに通算500本塁打、2000安打を記録するなど球界屈指の強打者として認知されているが、実は山本の通算盗塁数は231個。衣笠も266個を記録し、1976年には31個で盗塁王に輝いている。古葉監督が、いかに選手たちに走る意識を浸透させていたかが見て取れる数字だ。

 現在カープは2019年に鈴木誠也が25個、2020年に堂林翔太が17個で、それぞれチームトップの盗塁数を記録している。1、2番タイプ以外でも走塁面で高いポテンシャルを持つ選手が多いだけに、今季こそは河田ヘッドコーチが推奨する機動力野球の復活に期待したい。