カープ機動力野球の復活に欠かせないのが、2020年シーズンより選手会長を務める田中広輔だ。一昨年は右膝の故障もあり不本意なシーズンを送ったが、昨季は万全とは言えないまでも復調気配を見せた。ここでは完全復活が期待されるリードオフマンの、春季キャンプ中の声をお届けする。

リーグ3連覇中は高い出塁率で、チームの得点を大幅に増加させた田中広輔選手。

─昨シーズンオフの11月30日にはFA権を行使せずカープ残留を決められました。記者会見では、決断するまで悩みはあったと話されていましたが、決断したあとはどういう気持ちで過ごしてこられたのでしょうか?

 「たしかに決めるまではいろいろと悩みましたが、カープに残る、来年もカープでプレーすると決めたからには、チームのためにという前向きな気持ちしかなかったですね。若い選手も増えてきましたし、チームをどう良くしていこうかという気持ちで頭がいっぱいでした」

─オフの自主トレは、弟の田中俊太選手(DeNA)、中村奨吾選手(ロッテ)、茂木栄五郎選手(楽天)と行われました。どのようなところに重点を置いて行われたのでしょうか?

 「これは毎年のことなんですけど、やっぱり下半身ですね。しっかり走ることを意識して練習をしていました。走れなくなったら、選手としても、内野手としても、チームに貢献できないので、自主トレではそういう部分を意識して取り組みました」

─2月1日からキャンプがスタートしましたが、キャンプインするにあたり体の仕上がり具合はいかがでしたか?

 「順調でしたね。やっぱりカープのユニホームを着て、みんなで練習するのは久しぶりですから、自主トレとは違った達成感も疲労感もありますね」

─今年の春季キャンプは取材規制があり、ファンの方の声援が飛び交わない無観客での練習となります。雰囲気はいかがでしょうか?

 「これまで体験したことがないだけに不思議な感覚ですし、これまで僕が体感してきたプロ野球ならではのキャンプの雰囲気は薄いのかなと思います。やっぱりお客さんがいて、お客さんに見てもらうのがプロ野球です。それがキャンプの醍醐味なんだと改めて思いますね」

─田中選手個人としては、どんなテーマをもってキャンプに臨んでいますか?

 「沖縄には、新入団選手をはじめ、一軍キャンプが初めての若い選手が多く来ているので、周りを見ながら、しっかりと声をかけてあげられるようにしたいですね。若い選手が力を発揮できるような雰囲気づくりができたらいいなと思っています。個人的には、やはりキャリアハイを残せるように調整していきたいです。そのためにはレギュラーとして試合に出続けないといけません。そこを目指して取り組む姿をグラウンドで見せられたらいいなと思います」