3年連続で開幕投手に抜擢された大瀬良大地投手。

◆頭になかった開幕戦のマウンド

 3月26日に開幕したプロ野球。カープは中日をマツダスタジアムに迎えて2021年の開幕戦を戦った。マウンドに上がったのは大瀬良大地。右肘手術からの復活を目指すエースが、3年連続で開幕のマウンドを託された。

 しかし3月26日のマウンドまでの道のりは決して順調ではなかった。昨季は9月に右肘の手術を受け離脱。エースとして期待されながら、一年間先発ローテーションを守ることができなかった。

「離脱してからチームの勝利が伸びていない状況を見ると、申し訳なさと悔しさがありました。でも、その時の自分の体の状態だと一軍の戦力になれないのは分かっていたので、とにかくもどかしかったです」

 手術明けの今季は二軍からのスタート。右肘と体の状態を最優先に考えて練習を重ねた。

「体が万全の状態であれば、これまで以上の球を投げられるという感触があったので、ペナントレースに向けて体の状態を上げていくことだけを考えて過ごしました」

 2月中旬に一軍に合流すると、2月28日の日本ハムとの練習試合で3回無失点の好投。そして、春季キャンプ最終日の3月1日に佐々岡監督から開幕投手に指名された。

「昨季途中に離脱した時点で、僕の頭の中に、今年の3月26日の開幕マウンドに立つイメージはまったくありませんでした。とにかく早くケガを治して、シーズンが始まるまでに、なんとか先発ローテーションに入りたいという思いだけでした。ただ、リハビリが順調に進み、キャンプ中に一軍に呼んでもらえたことで、開幕投手争いに加わることができるかもしれないという手応えはありました。選んでいただけたのは大変光栄ですし、チームとしていいスタートが切れるように責任を全うしたいと思います」

 迎えた3月26日の開幕戦。まっさらなマウンドに背番号14が上がった。7回までわずか67球のテンポの良い投球で中日打線を翻弄。スコアボードに0を並べていった。しかし8回、ランナーをためた状態でマウンドを降りると、リリーフ投手が打たれ逆転負け。3年連続の開幕白星とはならなかった。

 残念な結果に終わったが、まだシーズンは始まったばかり。開幕戦の大瀬良の投球を見るかぎり、今シーズンにかかる期待は自然と膨らんでいく。3年ぶりのリーグ制覇に向け、投手キャプテンとして、そしてエースとして、大瀬良がカープ投手陣を牽引していく。