2020年6月の時点では、投げる球のほどんどが130キロ台だったという行木俊。しかし投球フォームの改善や肉体改造で、シーズン後半には150キロ近くまで球速をアップさせた。伸び代しかないといっても過言ではない、カープのドラ5右腕の声をお届けする。

1年目の今季は、まずは体力強化を中心に調整を続けていく行木。伸び代が多い投手だけに、大化けに期待したい。

◆覚悟を持って独立リーグへ

—徳島インディゴソックスに入団した経緯を教えてください。

「高校の先輩が徳島からNPB入りを2年連続で果たしていました。自分に近い存在の先輩だったので、自分もプロの世界でやりたいという思いで独立リーグに進みました」

—本格的に投手を始めたのが高校3年ですが、プロを目指すことに迷いはなかったですか?

「正直、自信はなかったです。高校野球も1回戦敗退ですし。でも負けたときの悔しさは人一倍強かったと思います。1回戦で負けたときは『まだ野球がやりたい、もっと上で野球をやりたい』という思いでいっぱいでした。自分は大学からの誘いはなくて、あったのは独立リーグからだけでした。その頃は『プロを目指す以外で野球はやらない』と決めていたので、覚悟を持って独立リーグに進みました」

—しかし1年目はケガで登板できませんでした。さまざまな葛藤があったのではないでしょうか?

「もちろんありました。肩が痛くて試合にも出られなくて、周りの先輩や同級生は試合に出てお金をもらっているのに、自分は給料ももらえなくて……。1年目は裏方で選手を支える側の立場だったので、何をするために独立リーグに来たんだろうと思い悩むこともありました。そのときは両親に支援してもらいながらやっていたので、すごく迷惑をかけているという気持ちがあって、本当に葛藤しかなかったです」