栃木県栃木市で行われている『第1回栃木さくらカップ2021』(4月2日~6日)が大会2日目を迎えた。2回戦では、前回大会優勝のエイジェックと2007年創部のアサヒトラストが激突。その他、初めて誕生したNPB公認チームの埼玉西武ライオンズレディース、創部3年目で都市対抗野球大会出場を果たした男子野球部の活躍が記憶に新しいハナマウイも登場した。

広島東洋カープに4年間在籍した船越涼太選手(現王子)の妹である船越千紘選手(エイジェック)。女子野球の日本代表“マドンナジャパン”でも主軸を務める日本の正捕手である。

◆日本代表の扇の要が考える女子野球

 女子野球の競技人口は年々増加の傾向にある。“夏の全国”こと全国高等学校女子硬式野球選手権大会は1997年のスタート時は5校で始まった。それが直近の2019年大会では31校が参加するなど、着々と女子野球のプレーヤーは増えている。

 しかし、彼女たちを取り巻く環境は決して恵まれているとは言い難い。男子野球に比べると、道具の問題、グラウンド環境、“女子野球”指導者、地方チームが少なく練習試合では遠征が当たり前など、十分な環境が整っていないというのが現実だ。

 エイジェックで正捕手を務める船越千紘選手は、世界野球ソフトボール連盟が主催する世界大会『WBSC 女子ワールドカップ』でも日本の正捕手として活躍し、2018年大会に選出された際には日本を前人未踏の6連覇に導いている。日本を代表する扇の要に、女子野球の“今”をインタビューした。

―野球を始めたきっかけを教えてください。

「お兄ちゃんの影響です。お兄ちゃんの少年野球について行ったのがきっかけです。年長さんの時から野球を始め、小学校では少年野球チームに入り、中学校では男子に混じり軟式野球部でプレーしました」

―キャッチャーとして配球を考える上で、最も大切にしていることを教えてください。

「まずは、バッターを観察し、その選手の特徴やクセ、雰囲気を見ます。次にその日のピッチャーの特徴を考えます。どのような球でストライクが取れるか、決め球は何か、を考えた上で打者と勝負します」

―女子野球の“今”をどう考えていますか?

「高校野球はどんどん競技人口が増え、中学生は進路の悩みが減りました。しかし、高校野球を終えた後の窓口はまだまだ狭い。大学やクラブチームが増えないと“野球をしたくても辞める”人が大半となってしまいます」

―今後、女子野球はどのような形になって欲しいですか?

「私自身にもよくあることなのですが、『野球をしています』と言うと驚かれてしまいます。今後、女性が野球をやっても驚かれないように女子野球がもっと広まって欲しいと考えています。まずは普及から、そこからプロなど次の話につながると思います」