◆とにかくみんなに頑張ってほしい

 昨季後半戦、佐々岡真司監督は若手選手を積極的に起用し、チームに新しい風を送り届けてきた。そして迎えた今季の一軍キャンプでは、カープの未来を担う若手選手が数多く抜擢された。3連覇を果たした頃と比べ、フレッシュなメンバーでのキャンプスタートとなった。

 若くしてチームの主力となり、カープのみならず日本を代表する選手となった鈴木。野手キャプテンに指名された事でプレーはもちろん、行動でも、若手を引っ張る役目が期待される。若手とのコミュニケーションについて聞くと、鈴木からこんな答えが返ってきた。

「僕が言うことではないかもしれませんが、とにかくみんなに頑張ってほしいです。狭き門を通ってプロの世界に入ってきているわけですし、大舞台で活躍することが一番の目標であり、やりがいだと思うので。僕自身、高校を卒業してカープに入ってから、うれしいことはもちろん、悔しい思いも何度も経験させてもらいました。
 悔しさを経験することで頑張れることもありますし、逆に喜びや達成感を味わうことで成長できる部分もあると思います。プロの舞台で同じユニホームを着ているので、少しでもそういう気持ちを感じてほしいですし、そのために自分にできることがあればアドバイスを送りたいと思います」

 2012年ドラフト2位でカープに入団した鈴木。高卒1年目から一軍で初安打を記録するも、その後に待っていたのはプロの壁だった。思うように結果が出ず、一軍定着に向けて悪戦苦闘の日々が続いた。

 球界を代表するスラッガーとして名を馳せている鈴木も、主力選手に成長するまでに多くの悔しさを経験し、それを力に変えてきた。だからこそ、目の前で鍛錬を続ける若手選手に、当時の自分を重ね合わせているのかもしれない。

 「今だからこそ言葉にできるのかもしれませんが、プロ野球選手である以上、結果を出すまでに苦しさや失敗を経験することは、誰もが必ず通る道だと思います。僕自身も結果を求め過ぎるあまり、気持ちが先走り、空回りした時期もありました。でもそれを乗り越えて結果を残さないと、一軍の試合に出ることはできないし、レギュラーに定着することもできません。
 そのためには、必死に練習することも大切ですけど、さまざまなアドバイスをもらうことで成長のきっかけを与えてもらうこともありました。なので僕も、自分の思いや経験はもちろん、これまで僕がいただいてきたアドバイスを他の選手に伝えていければいいなと思っています」