新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨季は中止となった交流戦が、5月25日から開幕する。カープにとっては鬼門となるだけに、開幕までに一つでも多く借金を返済しておきたいところだ。ここでは多くの苦汁を味わった交流戦の歴史を4回にわたって振り返る。

カープの枠にとどまらず球界のエースとして活躍した前田健太投手。

◆2012年・交流戦6位(24試合10勝11敗3分)【主砲が離脱するも6位で乗り切る】

 野村監督就任3年目、またしても選手の故障が相次いだ。4月26日には主砲の栗原健太が右肘の変形性肘関節症により戦線離脱。後釜のニック・スタビノアも、6月11日のオリックス戦で右膝を負傷し登録を抹消された。

 主砲だけではなく、前日の10日には東出輝裕が右中指を骨折し離脱。前年の例もあるだけに、打撃不振は交流戦に暗い影を落としかねなかった。

 投手陣では抑えのサファテが不調に陥った。5月下旬には3戦連続でセーブに失敗。翌月の5日には夫人の体調不良もあり、米国に一時帰国している。ニックの後を継いだ岩本貴裕、新守護神に抜擢されたミコライオらの奮闘がなければ、交流戦を6位で抜けることはできなかっただろう。

 なお、この年は巨人が交流戦を制覇。8年目にして初めて、セ・リーグのチームが頂点に立った。

◆2013年・交流戦8位(24試合11勝13敗)【状態が安定せず連勝、連敗の乱高下】

 交流戦初戦で4年ぶりに勝利を収め、続く2戦目も苦手のソフトバンクを退けるなど鬼門の交流戦で好スタートを切ったかに見えた。ところが5月29日の日本ハム戦から投打の歯車が狂い、まさかの6連敗。先発陣の大黒柱・前田健太が調子を崩すと、6月5日には借金が10に膨れ上がり、リーグ最下位に一気に転落した。

 また野手も開幕から好調だった丸佳浩、廣瀬純が勢いを失い、6月の月間チーム打率は.218とリーグワーストに沈んだ。とはいえ、交流戦終盤には5連勝を飾り、好不調の波が激しい中でも最後に盛り返して11勝13敗という成績を残してみせた。

 7月下旬まで連勝、連敗を繰り返すなど狂った歯車が戻るまで約2カ月の時間を有したが、中盤戦までの粘りが16年ぶりのAクラス、球団史上初のクライマックス・シリーズ進出につながった。