5月25日から6月13日まで行われるセ・パ交流戦。2005年の導入以降、パ・リーグがセ・リーグを圧倒する年が続いているが、だからこそ交流戦の成績はリーグ順位に直結する。

写真は2011年6月15日の楽天戦。田中将大の前にカープ打線が沈黙した(0対4)。

 以下は18試合制に移行した2015年から2019年までのカープの交流戦成績とリーグ順位だが、勝ち越した2016~17年はリーグ優勝を果たしている。

【広島東洋カープの年度別交流戦成績とリーグ順位】
2019年 5勝12敗1分(12球団中12位)/リーグ4位
2018年 7勝11敗0分(12球団中9位タイ)/リーグ優勝
2017年 12勝6敗0分(12球団中2位)/リーグ優勝
2016年 11勝6敗1分(12球団中3位)/リーグ優勝
2015年 9勝9敗0分(12球団中7位)/リーグ4位

 2年ぶりに行われる交流戦の戦いぶりが、リーグの覇権争いに大きな影響を及ぼすのは間違いない。今回はカープが交流戦で相対するパ・リーグ6球団の戦力分析と、勝利のカギになるであろうポイントを前後編に分けて考察したい(順位、成績ともに5月12日時点)。

◆東北楽天ゴールデンイーグルス「安定感抜群の先発投手陣」

 5月12日時点でパ・リーグ首位に立つ楽天が、前評判通りの強さを見せている。田中将大の復帰で厚みの増した先発投手陣、クローザー再転向で復活した松井裕樹を擁する救援陣、浅村栄斗、島内宏明ら主軸がしっかりと機能している打線と、投打の充実ぶりは12球団でもトップクラス。

 その中でも注目したいのが、安定感抜群の先発投手陣だ。ローテーション通りにいけば、カープと対戦する6月4~6日の先発は涌井秀章、田中将大、早川隆久の3投手。昨季最多勝の涌井は今季も好調をキープし、ここまで4勝でリーグ最多勝争いのトップを走る。ゴールデンルーキー・早川も新人離れしたクレバーな投球で涌井と並ぶ4勝を挙げている。

 田中は開幕当初こそ出遅れたが、メジャーでも見せたゲームマネジメント力は衰えを見せていない。また、交流戦での対カープ戦成績は通算5試合で3勝0敗と相性の良さも光る。

 3投手とも大崩れしないのが最大の特徴で大量得点はほぼ見込めない。1点でも多く得点を奪い、先発、救援陣が少ないリードを守って僅差で勝利を奪う――。「野球の原点」に立ち返ったような戦いが、対楽天のカギを握りそうだ。