カープが激震に見舞われている。5月20日に首脳陣、選手、チームスタッフに新型コロナウイルスのPCR検査を行い、新たに7名が陽性判定を受けたことを発表。これでチーム内の陽性判定者は10名となり、5月21日以降の公式戦の開催も現時点では不透明な状況だ。

豪快な本塁打でチームに貢献したエルドレッド。右はフレッド・ルイス。

 コロナ禍という状況を除いても、今季のカープは苦しい戦いを知られている。5月20日現在で41試合を消化し、16勝20敗5分の4位。首位の阪神とは10ゲーム差、クライマックス・シリーズ(CS)進出ラインとなる3位(ヤクルト)までは3.5ゲーム差だ。

 カープの過去のリーグ優勝の中で最大の逆転優勝は、1991年の首位・中日との7.5ゲーム差。あくまでも数字上の話ではあるが、すでにデッドラインは超えている状況だ。

 ただ、過去には厳しい状況下でも、終盤に驚異の追い上げを見せたシーズンも存在する。近年では野村謙二郎監督の4年目シーズン(2013年)がそうで、前半戦を終えた時点で借金は8(35勝48敗1分/5位)。首位・巨人、2位・阪神の後塵を拝す形で、4月以降は常に借金を抱える苦しい戦いを余儀なくされていた。

 ところが大失速を見せた2012年と違って、2013年のカープは最終盤の9月に急激なV字回復を見せた。7連勝などで下位4チームとの団子状態を抜け出すと、借金を完済できなかったとはいえAクラス入りが確定。オールスターゲーム以降を34勝24敗2分の好成績で駆け抜け、球団初となるCS進出を成し遂げた。

 投げては前田健太が最優秀防御率のタイトルを獲得し、ベストナインにも選出。打者では盗塁王を獲得するなどした丸佳浩が年間を通じて存在感を示し続けた。キラ、エルドレッド、バリントン、ミコライオら助っ人外国人の活躍も、最終的なCS進出を引き寄せる要因となった。

 目指すものは当然優勝だが、今季はCSも開催予定となっている。チームをとりまく状況は厳しいが、CS初進出を成し遂げたときのような粘りのV字回復を期待したい。