開幕から守護神として大車輪の活躍をみせている栗林良吏。今季20試合目の登板となった6月2日の日本ハム戦でも安定した投球を披露し、今季11セーブ目をあげた。重圧がかかる9回のマウンド、どんな気持ちで登板に臨んでいるのか、栗林の言葉と共にその思いに迫る。

開幕から守護神として活躍を続けている栗林良吏投手。

◆感謝の思いで挑むマウンド

 今季の開幕前、フランスアが右膝手術により離脱したことで浮上した守護神不在という課題。その課題を払拭したのがルーキーの栗林良吏だ。開幕から守護神に抜擢されると、圧倒的な活躍でチームの勝利に貢献を続けている。

 栗林が佐々岡真司監督から守護神指名を受けたのはオープン戦最後の対戦カード・ソフトバンクとの3連戦初戦だった。

「試合前に佐々岡監督に呼ばれて『今シーズンはクローザーをやってもらう』と伝えられました。また、『結果が出ても結果が出なくても、責任は俺がとるから全力でやってくれ』と言っていただき、その言葉は大きな励みとなりました。シーズンが終わった時に、佐々岡監督に“クローザーを任せて良かった”と思ってもらえるように頑張ります」

 プロ初登板は、開幕2戦目・3月27日の中日戦(マツダスタジアム)。3点リードの9回に登板すると、相手打線を三者凡退に抑えてプロ初セーブをマーク。以降も、重圧のかかるクローザーのポジションでありながら、無失点投球を続けると、5月4日の巨人戦(マツダスタジアム)で、初登板から14試合連続無失点というプロ野球新記録を打ち立てた。

「もちろん緊張もありますが、ブルペンを出る時、コーチやチームメートが激励の拍手と共に見送ってくれて、グラウンドに入るとファンのみなさんも大きな拍手を送ってくださいます。その拍手を聞くと、不思議と緊張はなくなり、“よし、やってやろう”と前向きな気持ちになることができています。そういう意味では、1人の力ではなく、たくさんの人に支えられてグラウンドに立たせてもらっているんだなと感じています」

 金字塔を打ち立てた以降も栗林の勢いは止まらない。6連敗で迎えた5月8日の中日戦(バンテリンドーム)では、1点リードの8回裏、1死満塁のピンチで登板すると、代打の井領雅貴を投ゴロ併殺打に打ち取り、そのまま9回もマウンドへ。プロ初の回またぎも無失点で切り抜け、連敗ストップの立役者となった。

「監督やコーチ、トレーナーさん、そしてチームメートのおかげで、こうやって良い時間を過ごすことができていると思っています。恩返ししていくためにもしっかり投げていきたいです」

 6月2日時点で無失点記録は20試合まで伸びた。投げるたびにすごみを増す背番号20が、どんな未来を届けてくれるのか楽しみでしかない。そして紡ぐ言葉からも分かるように、周囲への『感謝』を決して忘れない栗林の姿に、野球の神様も味方をしてくれているのかもしれない。