4月3日から始まった17連戦を、4勝6分7敗(リーグ戦:3勝5分5敗、ルヴァン杯:1勝1分2敗)の成績でフィニッシュしたサンフレッチェ広島。ここでは4月中旬から5月中旬にかけて、印象に残った試合の場面を、サンフレッチェ広島OBの吉田安孝氏が独自目線で分析する。

5月5日のこどもの日、途中出場した19歳のFW鮎川が劇的な同点ゴールを決めた。

 この1カ月の間で、特に印象に残ったのは4月18日の川崎戦です。1ー1の引き分けでしたが、川崎の強さを改めて知った試合でした。

 もちろん選手一人ひとりもとても上手いのですが、川崎の強さは、球際のせめぎ合いの強さや攻守の切り替えの早さにあると思います。攻撃を仕掛けボールを奪われたとしても、守備に切り替わる時、前線の選手も一気に引いていました。こういった連動したチームの動きは、サンフレッチェも見習わないといけない部分です。ただ、同点で終わり、勝ち点1を取れたことはプラスに捉えていいと思います。

 ちなみに、川崎戦での同点ゴールは、前線でサントスがボールを持ち森島につないだ、連携した動きの中から生まれました。この連携を次節の福岡戦や神戸戦で活かせれば良かったのですが、残念ながら活かすことができませんでした。福岡戦は試合内容で劣っていたわけではないのですが、徹底した対応を展開された結果、サンフレッチェの力が足りなかったと言わざるをえない試合内容でした。

 ただ、この福岡戦で、今シーズンの目玉となるであろう選手は東だと確信しました。ポジションはサイドバックですが、上下運動だけでなく中にも入れます。それに加え、ゲームをつくれるし、ラストパスも送れてシュートまでもっていくことができます。このようにポジションにこだわらないプレーは、今シーズンのサンフレッチェの象徴的なスタイルです。そういった動きで、自らの対応ミスによる失点をヘディングゴールで取り返した東には、新たなサイドバック像を見せてもらいました。

 東、鮎川、棚田など、若手の成長を感じる試合が増えています。なかでも5月5日、YBCルヴァン杯・横浜FM戦で、藤井から鮎川へつないだゴールは素晴らしかったですね。しかもアディショナルタイムでの劇的な同点弾でした。ゴールを決めた鮎川はストライカーとして期待を寄せている選手の一人です。