今季、若手選手の躍動が目立つカープ。新型コロナウイルスの影響で主力選手が離脱するも、二軍から昇格した選手が着実に結果を出している。カープの未来を背負っていく期待の選手を、OBの笘篠賢治氏が独自の目線で分析する。

一軍で打率.400(6月5日終了時点)と結果を残している中村奨成選手。

◆熾烈を極める捕手争い。若手にとっては大きなチャンス

  若手選手で名前を挙げると、5年目の坂倉将吾と2年目の石原貴規の二人の捕手にも期待しています。坂倉のバッティングに関しては何も言うことはありません。昨年同様に素晴らしいスイングを見せてくれています。あとは捕手としての技術、とくに捕球面ですね。

 そこは課題としてありますが、會澤翼のコンディションがあまりよくないことを考えると、坂倉にとっては大きなチャンスです。毎試合、自分がスタメンマスクを被る心構えでアピールを続けてほしいですね。石原も1年目に比べると、特に打撃面で成長を感じます。守備の評価はもともと高いので、坂倉と共に切磋琢磨してもらいたいですね。

 捕手でいくと、もう一人、4年目の中村奨成です。4月16日の中日戦でプロ初安打を放ちましたが、内角のシュート気味の球を、しっかりと振り切り、少々詰まりはしましたがレフト線へ運びました。難しい球にも上手くバットのヘッドを出していて、改めて身体能力の高さを感じる一打でした。

 以前は、足を大きく上げて、反動をつけてバットを出していましたが、反動をつけず、必要最小限の動きの中で、しっかり踏み込んで強いスイングをしていました。進化がうかがえる今季の打撃を見て、プロの体つきになってきたなと頼もしく感じましたね。

 中村奨は、肩が強くて足も速い、走攻守の三拍子が揃った、野手としての能力にも長けた選手です。今年から、捕手以外にも、サードや外野にも挑戦しているので、その経験が、中村奨にどんな影響をもたらすか楽しみです。若い選手に必要なのは実戦経験です。捕手として、野手として、どんどん試合で使ってあげてほしい。5月上旬に一時二軍調整になりましたが、一軍での出場機会が限られていただけに、これは本人にとってプラスの要素が大きかったのではないかと思いますね。

 もちろんチーム事情があるのは理解していますが、可能性を秘めた選手が試合出場に恵まれないのは、見ていてもったいない。中村奨は高卒で入団していますから、実戦経験を積むことで、どんどん能力が伸びていく時期。ドラフト1位で期待も大きいだけに数多く試合に使ってあげてほしいですね。三拍子揃った選手だけに、余計にそう思います。