開幕から22試合連続無失点の球団新記録を達成したドラ1右腕の栗林良吏。さらなる記録更新が期待されたが、6月13日のオリックス戦(京セラD大阪)でプロ初失点。記録は22試合でストップし、チームもサヨナラ負けを喫した。

 栗林の記録が止まった日に、チームは12球団最多タイとなる通算5度目の交流戦最下位が確定。リーグ順位においても、DeNAを白星で下回り、最下位に転落する悔しい一日となった。

重圧のかかるポジションでありながら、開幕から好投を続けるドラ1右腕の栗林良吏投手。

◆感謝の思いで挑む最終回のマウンド

 6月13日のオリックス戦。栗林が登板したのは、打線が3点ビハインドを追いついた直後の9回裏。先頭の福田周平にストレートの四球を与えると、1死二塁から、代打モヤを申告敬遠。続く代打ジョーンズにもストライクが入らず、3つの四球で満塁のピンチを迎えた。

 5番ロメロは、ストライク先行の投球で空振り三振に打ち取るも、T-岡田にライト前ヒットを打たれ万事休す。オリックスにサヨナラ勝ちを許し、栗林が続けていた開幕からの連続無失点記録は22試合で止まった。

 この日栗林が投じた20球のうち12球がボール判定。開幕から続けてきたストライク先行の投球をできなかったことが、サヨナラ負けを喫する要因の一つとなった。

 ただ、打たれはしたものの守護神・栗林の評価が損なわれることはない。新人ながら開幕から守護神として大車輪の活躍。重圧を感じる9回のマウンドを任され、投げるたびにすごみを増していった。

 開幕直後の本誌インタビューで、栗林はこう話していた。

「もちろん重圧はありますが、頼もしい先輩方がたくさんいるので、バックを信頼し、チームメイトやファンのみなさんの思いを力を変えて、チームの勝利に貢献していきたいと思っています。重圧と捉えるのではなく、“期待に応えたい”という意識でマウンドに上がるように心がけています」

 その言葉通り、栗林は次々と期待に応えていった。5月4日の巨人戦(マツダスタジアム)で、初登板から14試合連続無失点というプロ野球新記録を樹立。そして、6月10日のソフトバンク戦で、開幕から22試合連続無失点の球団新記録を打ち立てた。

「オープン戦から感じていたことですが、ピンチの場面でボールが続くとファンのみなさんが拍手を届けてくださり、その音は、マウンドで投げる自分の背中を押してくれました。当然力になりましたし、この先もずっと、拍手を送ってもらえる選手でありたいなと思いました。応援してくださるカープファンのみなさんに喜んでもらえるように自分の役目を全うしていきたいですし、感謝の気持ちを忘れずにプレーしていきたいですね」

 惜しくも初登板からの無失点記録は途切れたが、黒星がついたという経験が、きっとこの先のシーズンで活きてくる時がくるはずだ。多くの期待を背負って投げるカープの守護神は、重圧と悔しさを力に変えて、これからも最終回のマウンドに立ち続ける。