6月20日のDeNA戦(東京ドーム)でプロ2度目の先発マウンドに上がった大道温貴。プロ初先発となった6月11日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で5回無安打無失点の好投を見せただけに期待がかかったが、結果は4回途中まで投げて8失点。プロの洗礼を浴びる悔しい登板となった。しかし落ち込んでいる時間はない。今後も一軍での登板に期待がかかる、ドラ3右腕・大道の熱き思いを、独占インタビューをもとに紹介する。

先発もリリーフもこなせる即戦力として期待がかかるドラ3右腕・大道温貴投手。

◆高校3年の春に気づいた、開き直って投げる大切さ

─プロとしてやっていくうえで心に刻んでいる座右の銘を教えてください。

「『不動心』という言葉です」

─その言葉を選んだ理由は何ですか?

「中学3年の時からこの言葉を大事にして野球を続けてきました。結果が出ない時はもちろんなのですが、活躍できている時も慢心しないように、私生活を含めて意識してきたつもりです」

─ご自身のグローブにも刻まれている言葉ですね。

「そうですね。中学3年からグローブにずっと入れています。この言葉を忘れずに、何があっても心が揺れ動かないように、どんな時も平常心でプレーすることを心がけていきたいですね」

─これまでの野球人生で挫折を経験したことはありますか?

「挫折を感じたのは高校の頃ですね。上手くいかない時期が長く続きました」

─それはどういったことが思い通りにいかなかったのでしょうか?

「練習試合であれば、完封もできるし思い通りに投げることができたのですが、公式戦では上手くいかなくて……。ずっと、なんで結果が出ないのだろうとジレンマを抱えながらプレーしていました」

─そのジレンマはどう乗り越えてこられたのでしょうか?

「高校3年の春の大会の登板で、負けていたこともあって、試合終盤は開き直って、言葉は悪いですがやけくそ気味で投げたところ、イメージに近い球を投げることができたんです。その試合から腕をしっかり振ることを意識し始めました」

─開き直った思い切りの良さがプラスの投球を生んだということですね。

「それまではコントロールのことばかりを考えてしまっていたので、自分の中で無意識にストライクゾーンを小さくしてしまっていたように思います。細かいことを気にせず、“打者に負けない”向かっていく気持ちで投げたところ、腕がしっかり振れて結果もついてきました。この経験から、高校3年の夏から大学4年間は、とにかく向かっていく強い気持ちを前面に出して投げてきました」