◆驚異の『捕手5人体制』⁉︎

 この時点で一軍には會澤、坂倉、磯村、中村奨成の4人がいたが、5月18日に出場選手登録を抹消されていた石原が一軍に復帰し、「捕手5人体制」となったのだ。

 直後の6月16日に會澤がケガで登録抹消となったため、「捕手5人制」はわずか2日で終わりを告げたが、會澤が復帰を果たしたら、再び5人制を敷く可能性も十分ある。

 経験の會澤、打力の坂倉……そこに、若きスター候補・中村奨成がからむ――。

 しばらくはこの3人による正捕手争いが展開されると思われたが、ここにきて一気に飛躍しそうなのが石原だ。

 6月14日の一軍復帰では即日スタメン出場。以降もコンスタントに先発マスクをかぶり、6月20日はプロ初本塁打を含む5打数4安打の大爆発。

 プロ1年目の昨季は二軍で打率.202。いわゆる「守備型捕手」のイメージが強かったが、秋のフェニックスリーグ14試合で3本塁打12打点と打撃のキッカケを掴み、今季も二軍では13試合の出場で打率.381、2本塁打、11打点とすっかり「攻撃型捕手」へと変貌を遂げた。そもそもスローイングには定評があり、「課題は打撃」と言われ続けていただけに、この大変身ぶりは一軍首脳陣にとってもうれしい誤算。

 ちなみに、6月25日終了時点でのカープ捕手陣の打撃成績は以下になる。

坂倉将吾 54試合 打率.327 本塁打2 打点18
會澤翼  34試合 打率.278 本塁打2 打点10
中村奨成 26試合 打率.295 本塁打1 打点4
石原貴規 21試合 打率.239 本塁打1 打点5
磯村嘉孝 14試合 打率.091 本塁打0 打点2

 「捕手」という肩書を外しても十分すぎる打撃成績だ。打率が低迷している磯村もパンチ力を備えた打撃には定評がある。

 出場を辞退したとはいえ、東京五輪代表に選出された會澤ですら安泰ではない現在のカープ正捕手争い。まずは會澤の帰還まで、正捕手争いをリードするのが誰か。

 正捕手争いの新たな刺客・石原の動向も含め、4人の捕手の熾烈なバトルに注目したい。