正捕手候補へ一気に飛躍する石原貴規選手。

◆『贅沢な悩み』を抱える、カープの正捕手事情 

 カープの正捕手争いが今、熱い。

 2017年からは會澤翼がその座を掴み、しばらくは安泰かと思われたが、2019年頃から坂倉将吾が持ち前の打力を武器に台頭。昨季の捕手出場試合数は會澤が64試合、坂倉が55試合と早くも「世代交代」の匂いが立ち込めていた。

 そこにきて、今季はプロ4年目の中村奨成が覚醒。6月19日には待望のプロ初本塁打を放つなど、出場機会を順調に増やしている。

 各球団が「正捕手育成」に苦心する中、一軍で使えるレベルの捕手が続々と育つという「贅沢な悩み」を抱えるカープだが、その証拠に今季は異例ともいえる捕手4人制でシーズンをスタートしている。

 通常、プロ野球では正捕手ひとり、控え捕手ひとり。さらに万が一に備えての第三捕手ひとりの捕手3人制が基本だ。しかし、今季のカープは開幕で會澤、坂倉、磯村嘉孝、石原貴規を一軍登録。打力の高い會澤、坂倉の「代打起用」が想定されるための措置だったが、6月14日にはさらに驚くべきことが起こった。