プロ10年目を迎えた今季、いまだ一軍での登板がない一岡竜司。かつて3連覇を支えた右腕は、二軍で若手と共に復活への道を模索している。勝つために、自分の可能性を信じ前進を続ける背番号30の思いに迫った。

復調が待たれる一岡竜司投手。

◆一軍に這い上がるために投球フォームを変更

─開幕から二軍での調整が続いていますが、どんな思いで過ごしていますか?

「自分では球の質や体の状態は良いと思っています。それでも一軍に上がれないのは力がないと評価されているということなので、変わったと思える姿を首脳陣にアピールしていきたいと思います」

─変化を示すため、新しく取り組んでいることはありますか?

「シーズン途中ではありましたが、5月下旬くらいに投球フォームを変更しました。もともとテイクバックの小さいフォームなんですけど、プロで登板を重ねるうちに、いつの間にか動作が増えていました。なので無駄な動きを少なくすることを意識してフォームを見直しました。これなら一軍でも通用するだろうという手応えのある形が見つかったので、あとは試合で結果を残していきたいと思います」

─投げる際の動作が増えてきたことで投球内容に影響があったのでしょうか?

「自分の中で投球フォームのブレを感じていて、1点で抑えないといけない場面で3点失ってしまうなど、雑な失点が続いていました。そういった登板が続いたこともあり思い切って変えてみました」

─一岡投手といえば、小気味よく跳ねるなど躍動感を感じる投球フォームが印象に残っています。新フォームでは躍動感を抑えることも意識されていますか?

「躍動感や投げっぷりの良さは出そうと思って出るものではないので、自然に出る分はいいのかなと思っています。一軍で活躍するために変更したので、早くファンのみなさんに、一軍のマウンドで投げる姿を見てもらいたいですね」

─二軍の登板を重ねるごとにストレートの質も上がっているように感じます。

「そうですね。一軍でたくさん投げていた数年前と比べても、球速自体は、ここ最近のほうが速いです。ただ球速だけ良くてもダメなので、質も高めていかないといけません。そして、求めている球をコンスタントに投げられるようにしないと一軍では通用しないと思っています」

─昨年の10月から一軍での登板がありません。一軍に昇格するため、日々の習慣で変えたことは何かありますか?

「自分を持っていないと思われるかもしれませんが、良い意味で、こだわりやプライドを持たないようにしています。例えばの話ですが、もし首脳陣から『サイドスローにしたら一軍に上げる』と言われたら、迷うことなくサイドスローにすると思います。常に思っているのは〝変化に対して柔軟でいたい〟ということ。その時その時の自分を取り巻く環境に合わせてプレーしていきたいと思っています」

─共に優勝に貢献した今村(猛)投手や中﨑(翔太)投手も二軍で汗を流しています。2人からどんな影響を受けてますか?

「猛やザキの姿を見ていると過去の実績にとらわれることなく、なんとか変わろうとしている気持ちを感じます。二軍には2人以外にも一軍経験者がいて、何とか這い上がろうと頑張っています。そんな姿を見ると、負けていられない気持ちになりますし、良い刺激を受けています」