◆不変の投球スタイルで連続先発登板の日本記録を樹立

 野村にまず託されたのは開幕カードの3戦目。3月28日の中日戦(マツダスタジアム)で先発マウンドに上がると、勝ち星こそつかなかったが、6回無失点の貫禄の投球を見せ復活をアピールした。しかし、それ以降、野村は勝ち運から見放されることとなる。先発としての役目を果たすも白星を手にすることができない試合もあり、もどかしい日々が続いている。

「試合序盤から球数が増えてしまうイニングがあるので、攻撃にリズムを与えるためにも、なるべく少なくしていかないといけないと思っています。ストライク先行で投げることができている試合は、内容もついてきていますが、球数が増えたり、ランナーの出し方が悪いと失点を重ねてしまっています。走者を背負うとテンポを崩してしまう傾向にあるので、それを改善するのが課題ですね」

 今季7試合目の先発となった6月9日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で黒星を喫して、再び二軍での調整が決まった。足踏み状態が続くが、プロ初登板から188試合連続先発登板の日本新記録を樹立した野村の真の力はまだまだこんなものではないはずだ。

 野村が10年かけて打ち立てた『188試合連続先発登板』の金字塔。それだけに〝先発〟には強い思い入れがある。カープだけではなく、広陵高でも明治大でも、エースとしてチームを勝利に導いてきた。25年ぶりの優勝を果たした2016年に16勝を挙げた活躍も記憶に新しい。

「任された登板で、試合をしっかりとつくることが先発の一番大きな仕事だと思っていますし、良いものを出せるようにこれまでやってきたつもりです。体の状態は日によって変わってくるので、その中で、その日のベストを出せるように取り組んでいますし、登板に向けた準備も大事にしています。準備で一番意識するのはメンタル面ですね。頭と心の準備をしっかりするように心がけています」(後編に続く)