今季、連続先発登板の日本新記録を樹立した野村祐輔。ケガに泣いた昨季の雪辱に燃えて挑んだシーズンだったが、いまだ勝利を飾ることができていない。巻き返しを図る後半戦、活躍の期待がかかる背番号19の思いに迫った。

一軍での活躍に期待がかかる野村祐輔投手。

◆重圧や期待に向き合い残してきた数々の輝かしい記録

 野村は広陵高の頃から、甲子園大会をはじめ、数々の大舞台を経験してきた。アマチュアとはいえ、注目度の大きい試合で幾度も先発マウンドを任され、周囲の期待に応えるピッチングで見る者に歓喜と感動を届けてきた。表現を変えるとプレッシャーに負けることなく、自らの力で重圧を跳ね返してきたともいえる。

「いざマウンドに上がり試合が始まると打者との対戦に頭も心も集中するので、そこまでプレッシャーは感じないのですが、1回のマウンドに上がるまでは重圧を感じることもあります。それに打ち勝つためにも、やっぱり準備が大切なのかなと思いますね。自分の中で決めている準備とルーティンを一つ一つやっていくと、いつの間にか、自然にスッと試合に入っていけるようになりました」

 カープでは先発として77の勝ち星を積み重ねてきた。1年目から開幕ローテを勝ち取ると、シーズンを通して責任を全うし、9勝を挙げ防御率は1点台を記録。シーズン終了後には新人王に選ばれた。翌年に12勝を挙げると、以降もコンスタントに勝ち星を重ね、カープ先発陣になくてはならない存在となっている。

「先発として一番意識している数字は、クオリティ・スタート(先発投手が6回以上を投げ自責点3点以内に抑えた時に記録)です。先発の役目は、どんな状況であっても試合を壊さないことだと思うので、登板する試合は、クオリティ・スタートはクリアしたいと思っています」

 カープの一軍先発ローテを見ると、大瀬良大地や九里亜蓮、森下暢仁をはじめ、リーグを代表する投手が揃う布陣となっている。それだけに野村自身が彼らから受ける影響も大きい。

「良い投手がたくさんいるので、チームの中で切磋琢磨して、お互いに良い部分を吸収していけたらいいなと思っています。あと若い投手も増えたので、何かアドバイスを求められた時は、成長のヒントになる答えを返してあげたいなと思いますね。ただ、やっぱり負けられないという気持ちも強いです。逆にそういう気持ちがなくなったらダメだと思います」