現在は声援の自粛など、新型コロナウイルス感染症対策を講じて大会が開催されている。

◆入場時のコールはプロレスの醍醐味の一つ

 そもそもは、新日本プロレスのテレビ放送をしているテレビ朝日さんから、「作曲家の方もいるので曲を変えませんか?」という話がきて、変えることになったんです。作曲家の方と入念に打ち合わせをするのは初めてのことでしたし、自分から注文したのは『早いテンポ』と『内藤コールがしやすいリズム』という2点でした。

 あとは、“こういう感じの曲が好きです”っていうイメージを伝えるために、当時ケニー・オメガという選手が使っていたテーマ曲の音源を持って行きました。コールがしやすいリズムというのは、オレがプロレスファンだったからこその注文だと思います。

 入場のときに手拍子とともに、選手の名前をコールできるのはプロレスの醍醐味の一つですからね。ただ、実際に『STARDUST』を使い出した頃は内藤コールは起こらなかったし、むしろ当時は入場のときにブーイングをされることの方が多かった(苦笑)。

 でもそれから数年後には、曲に合わせてどこの会場でも内藤コールが起こるようになって、それは2011年に『STARDUST』をつくったときに思い描いていたことが実現した瞬間でもありました。動画配信サービス『新日本プロレスワールド』でも試合が放送されるようになって、それからは例えばアメリカ、イギリスとかの海外でも、日本と同じように内藤コールが起こるようになりました。

 実は、2015年にロス・インゴベルナブレスをメキシコから持ち帰って来たときに、「テーマ曲を変えたら?」っていろんな人から言われたんですけど、絶対に変えないと決めていました。割とベビーフェース的な曲のなかを、ヒールっぽい選手が入って来るっていうギャップがいいし、あとは速いテンポの曲で、ゆっくりと入場してくるっていうギャップもいいなと。

 入場スピードに関しては、完全に自分のサジ加減なんですけどね(笑)。あとは、自分が苦しんでいた時期にも使い続けた曲だし、あのときの気持ちを忘れないように、という思いもあります。