相手ストライカーに仕事をさせない堅実な仕事ぶりで持ち味をアピールしている今津佑太。レギュラーに割って入るだけの高いポテンシャルを持った存在だけに、後半戦、熾烈を極めるDFのポジション争いにどう絡んでいくか。諦めず、腐らず、強い信念で、サッカーに向き合ってきた今津の思いを届ける。

サンフレッチェ広島で、DFのさらなる強化を担う存在として期待がかかる今津佑太選手。

◆王者のDNAに触れて広島が持つ可能性を確信

―広島のDF陣の雰囲気をどう感じていますか?

「佐々木さん、荒木さん、野上さんの3人は声に出さなくても通じ合っているものがあるようなのですが、僕はまだ分からない部分があるので、気になったところは聞いたりしてコミュニケーションを取っています。特に佐々木さんは守りの堅さや高い技術があり、なおかつチーム全体のことを常に考えておられるので、本当に頼りになります。こういう選手にならないといけないんだと勉強になりますね」

―今シーズンは4バックにチャレンジしてきましたが、5月23日のC大阪戦(ヤンマースタジアム長居)から3バックに変わりました。

「今後どういうフォーメーションで戦うのかは分かりませんが、自分としては、勝ちを手繰り寄せられるDFになることだけを考えています。そのために、ほかの選手よりも守る範囲を広げたり、攻守に賢くプレーしたり、試合に出るために必要なことに取り組んでいます。今後は、点に絡めるセットプレーの強さを身につけたいと思っていますが、とりあえずは、今取り組んでいることが実を結び、良い方へ向かっていくように頑張っていきたいと思っています」

―前半戦、17連戦という厳しいスケジュールがありましたが、チームの雰囲気はどうでしたか?

「勝てないときは少し重苦しい雰囲気の時もありました。そんなときにチームを鼓舞できるような存在になれたらいいのですが、DFは失点に絡んでしまうポジションなので難しさを感じています。だからこそパーフェクトに近いプレーを目指していかないといけません。改めて感じたのが、試合の勝敗がチームの雰囲気を左右するからこそ、結果を出すことが重要だということ。結果が出れば雰囲気は良くなっていきますし、チームの歯車も噛み合っていきます。その歯車の一つに、自分もなっていきたいです」

―リーグ前半戦を終えて、広島は勝点30の9位です。今後、勝点を重ねていくためにチームに何が必要だと思いますか?

「広島は技術の高い選手が多く、サッカーに対して真面目に向き合っています。そんななかで、何が必要なのかと考えると、〝同じ青写真を描いて進んでいく〟まとまりなのではないかと思います。選手個々の能力がまとまり、バラバラにならないように発揮できたら、怖いチームになると思いますね。ポテンシャルはあるので、この中断期間の間に、イメージを確認し合っていけば、きっと良い結果が出るはずです。また、このチームには『チャンピオンのDNA』があります。それを若手選手が吸収することも大切だと思います」

―『チャンピオンのDNA』とはどういったことでしょうか?

「具体例を出すと4月18日の川崎戦(等々力陸上競技場)での青山さんのプレーです。相手を上回るほどの走行距離や球際の強さが印象に残っています。90分間ギアが上がりっぱなしで、失点しても全く下がらない。そういう姿を見ると、勝ち方はもちろん、負けている試合でも追いつく術を知っている『チャンピオンのDNA』を感じます。王者のメンタリティを身近で感じることができたのは、広島に来て大きな収穫でした。川崎戦は、引き分けに追いついただけでなく、逆転するチャンスもあったくらいだと思っています」

―今季の目標を教えてください。

「一番近い目標は、広島で活躍することです。個人としてはもちろん、チームとしても結果を残していきたいと思っています。広島というしっかりとしたチームの中で結果を残すことができたら、もっと上の場所が見えてくると思うんです。26歳ですが、サッカー選手としては若くありません。ここからさらに上を目指せる可能性は高くないとは思うんですが、自分がどこまでいけるかというのを確かめるために広島に来ました。広島で結果を出した先にある、新しい景色を見てみたいです」